こころの診療所 から

宝塚市大橋クリニックの院長ブログです

就労移行支援事業所 JCC希望に見学に行きました

先日(2月22日)、就労移行支援事業所「JCC希望」に見学に行きました。

www.kibounoie.org

(上記のリンク先には、JCC希望のプログラムも見れるリンクがあります)

これまでは地域活動支援センター(地活)を主に見学に行ってきましたが、今回はちょっと違います。

就労移行支援事業所とは何でしょうか?

就労移行支援事業所は一般企業への就職を目標に、仕事に必要な力をつける場所です。仕事のマナーとかコミュニケーション、実際の具体的な仕事の疑似体験、実際の仕事場にいって職場体験などをします。

地活は活動内容がもう少し幅があるところで、居場所であったり、仕事体験、レクレーションなど色々な活用ができるところでした。就労移行支援事業所はもっと目標がはっきりしています。地活は期限がありませんが、就労移行支援事業所は2年以内という活用期限が決まっています。

これまで、患者さんに就労移行支援事業所を紹介してきましたが、実際に見に行くのはこれが初めてでした。行ってよかったです!

まず実際に利用者さんが仕事の練習をしているところを見せていただきました。ねじ部品について、必要な部品をメモを見ながら、棚からとっている人、パソコンで作業している人、みなさんそれぞれの作業を黙々となさっていました。なるほど、これは現場でありそうな作業です。実際に企業の方に提供していただいているネジとか。そうか、今まで私が紹介した患者さんは、こんな感じで練習していたんですね。実際に就職した患者さんの話を思い出して、目の前で作業をしている方と合わさって、ようやくイメージができました。

次に施設の所長さんと職員の方とお話を少し伺いました。コミュニケーションのトレーニングの教科書も見せていただきましたが、確かによくある場面。患者さんからよく聞く悩みの場面です。調子が悪い時にどういいだすか、休ませてほしい時にどういうかなど、実際にやってみて練習をします。

実践的なトレーニングの話の中で、清掃業のトレーニングの話になりました。清掃でも業者によってやり方が様々だそうで、あまり就労移行支援事業所の中で決まった清掃の練習をしすぎると、他のやり方に適応しづらくなるかたもあるとか。トレーニングについても色々研究されている様子がひしひしと伝わってきました。

所長さんも職員のかたもとても熱心なベテランの方で、快く見学させていただきました。ありがとうございました。

勤務医時代は訪問診療は力を入れていましたが、このような場所に色々見学に行く時間はなかなかとることができませんでした。百聞は一見に如かずですが、これからも色々地域を見て回りたいと思っています。

 

師匠はやはり師匠

先日、私が医師としての人生をスタートした神戸市立医療センター中央市民病院の精神科の上司と同僚が開業祝いをしてくださいました。

クリニックで色々工夫をしようと考えていますが、上司の話を伺い、もっと根本的な工夫の余地がたくさんあることを気づかされました。やはり、師匠はいつまでも師匠ですね。

中央市民病院では本当にたくさんの経験をさせていただきました。初期研修では色々な科を回りますが、常に救急部での当直があり、家に帰っても救急車や救急外来の呼び出し音が耳に残るような生活をしていました。ドクターカーに乗って、事故現場での救命を行ったり、生死の最前線で医療を行いました。自分自身が恥ずかしく情けなくなるような時も多々ありました。精神科医になり、当時の手技は衰えたと思いますが、向かっていくあのスピリットを持ち続けたいものです。

精神科の研修もとてもよい研修でした。3人の上司がおり、それぞれの先生がそれぞれの特徴をお持ちで(と私が言うのも失礼ですが・・・)、非常に勉強になりました。部長の癒しの雰囲気を真似しようとしてみますが、うまくいきませんね。私は私の個性を生かして患者さんと向き合っていくのが自然なのでしょう。

これまでの医師人生、本当に素晴らしい方々に出会うことができたと思います。いただいた経験をこの場所で十分生かしていきたいと思った一日でした。

 

地域連携の会に参加してきました

先日(2月13日)、小林地域包括支援センターが主催する地域連携の会に参加してきました。

介護士さん、訪問看護の方、薬剤師の方、地域包括支援センターの方、医師が集まって研修をするという会です。

色々な機関の方と顔の見える関係を作りたいと思って参加しましたが、メインは研修でした。薬剤師さんが講師となって、患者さんの残薬問題をどうやったら解決できるかをグループごとに話し合うというものです。

皆さん色々なケースで困っている様子で、どんな点で医療との連携に壁があるのかも少し感じることができました。

このように多職種の方が集まる場所、特に身近な地域の方と接点を持てる場所はあまりないので、貴重な会でした。

診療終わってからご飯食べる間もなく21時までの会だったので、お腹がすきましたー

lemon treeのランチを食べてきました

先日見学にうかがった、レモンツリーという地域活動支援センターにカレーライスを食べに行ってきました。

やっぱり、雰囲気がいい!通りから店に入ると、空気が違います。

ゆったりとした木の温かみ、なんだか落ち着きます。

 

そう、この日はどうもカレーが食べたくなって、来てしまいました。
おいしいカレーでしたよ。本格的な感じがします。手が込んでいる感じがします。書いていて思い出して、つばがでてきました。そういう感じです。当たりが良かったのか肉も多かったです。

サフランライスか普通のライスをえらべるというのもなかなかいいです。

なにせ嬉しいのは、この雰囲気、この味で500円しないんです!

いやーおいしかった。今度は大盛にしようかな(できるのかな?)

 

札幌で講演をしてきました

1月26日に札幌で講演をしてきました。
ステマティックレビュー&メタアナリシスという研究方法について医師の方々にご紹介するのが目的です。

世の中にはたくさんの研究があります。皆様も新聞記事やテレビでセンセーショナルなニュースを見ることがあると思います。しかし、そういったニュースは全研究のごくごくごく一部です。同じ話題の研究でも互いに矛盾した結果だったりすることさえあります。

ステマティックレビュー&メタアナリシスという研究は、世の中の研究をすべて集めてきて、全部まとめると結局どうなの?という結論を示す研究です。

わかりやすく直感的に言えば、近所の人は○○と言っていた、テレビでは△△と言っていた、雑誌では□□と言っていた、とすると、全部総合したら正解はどうなるか?と結論を出すような研究です。

やることは簡単そうなのですが、実際には、どうやって世界の研究を集めるのか、どんな研究を集めるのか、どんな結果に注目して総合するのかなど考える点は色々あって、さらにたくさんの研究に目を通すのでなかなか仕事がたくさんです。

日本ではこの方法をしっかり勉強して実施している方もそう多くはなく、私のようなものにも需要があるのです。私は北海道の出身ですので、北海道にも貢献したいと思って今回の企画となりました。

この1年ほどをかけて、いくつかのシステマティックレビュー&メタアナリシスの論文が参加メンバーから出せるようにご協力していくことになりました。センセーショナルなニュースに惑わされずに、しっかり今一番真実に近いことを世の中に提示していくことにこれからも貢献していくつもりです。

 

昨年の心療内科学会シンポジウムの報告

昨年(2018年)12月24日に北海道で心療内科学会があり、シンポジストとして呼ばれて発表してきました。「在宅医療における心療内科的課題」という話題で、メンバーは神経内科の先生、訪問を積極的にされてきた看護師さん、ケースワーカーの方と私でした。皆さんとても偉い方で、かなり恐縮してしまいました。

私は精神科の訪問診療についてご紹介したのですが、他の方の発表をうかがっていると、なんだか内科の先生とも、看護師さんともケースワーカーさんとも、姿勢は共通しているような感じで、困ったときの話も表現は違えども、同じことを言っているような感じがしました。精神科医として呼ばれましたが、なにか目新しいものを提供できたかというとそうでもなかったかもしれません・・・

患者さんを理解しようとしながら、自分や一緒に働く人もお互いに影響を受けながら進んでいること、解決できない問題とじっと付き合いながら一緒に耐えていくこと、そんなことが共通した姿勢だったように思います。

今回の学会では人のご縁も感じました。学生時代から私は地域で医療をしたいと思っていました。当時は内科にしようか精神科医になろうか迷っていました。大学には地域医療の教室もあり、そこの教授の先生が朝、僕らの勉強に付き合ってくれて、診察の仕方などを教えてくださいました。その先生は今は退官されて、北海道で地域医療をされているのですが、今回の学会長がその先生で、声をかけてくださいました。

学生時代に往診を見てみたいとその先生に相談したところ紹介してくれた医院がありました。今回のシンポジストはその医院の先生でした。

あれから時間がたち、私も当時思っていたような医療に携わるようになりました。

今回のシンポジウムで当時の教授や、見学先の方と接点を持ちました。なんだか感慨深いものがあった一日でした。

あとは、今回の発表を論文にまとめなければならないのが・・・ありますが・・・頑張ります。

仕事はじめ、待合室の本を増やしました

本日は仕事はじめでした。

休み中に自宅にあった本をクリニックに持ってきておいたので、待合室の本に加えました。

診察室以外で患者さんが過ごす時間は、診察室で私が患者さんと会う時間より、はるかに長い時間です。この時間も治療に生かすにはどうしたらよいでしょうか?

認知行動療法というカウンセリングの技術では、必ず面談と面談の間にホームワークと言って、生活の中で患者さんにやっていただくことを話し合います。
しかし、現状の短い診察時間では丁寧なホームワークを設定することが難しいことも多く、不十分になりがちです。せめて、患者さんに参考になる本を診察室において、興味のある方にはぜひ参考になるようにと、待合室の本を充実させています。

これらの本は、私が医師になって患者さんの役に立つような本がないか探してきたものです。残念なことにとても良い本なのに絶版になってしまっている本もあります。患者さんに購入して自分のために読んでほしいという意図で待合室においているので、絶版の本はどうしようか悩みましたが、良いと思うのでとにかくおいておくことにしています。

セルフヘルプ本は読んでいただいて、実際に書き込んだりして、診察室で話し合う話題にもできると思います。

どんな方にどんな本を薦めたいかもわかるように工夫できたらと思っています。

治療の場所は、クリニックの中だけではありません。どうやって日常で工夫するか、本もとても参考になると思います。ご自身の工夫で障害を乗り越えてきた方は、私の技術など到底及ばない、素晴らしい自身の治療者です。私も患者さんから勉強させていただきながら、それをまた他の患者さんにお伝えしていきたいと思っています。

症状が良くなった患者さんには、「症状を良くするのに何が良かったのでしょうか?」とよく質問します。これは、症状を良くする患者さんの技をお互いにはっきり覚えておきたいという意図があります。一緒に工夫を見つけていきましょう。

本の話題から少しずれましたかね?