こころの診療所 から

宝塚市大橋クリニックの院長ブログです

本の紹介: 高機能自閉症・アスペルガー症候群 「その子らしさ」を生かす子育て 改訂版

クリニックの本棚の本の紹介です。名著です!
高機能自閉症アスペルガー症候群 「その子らしさ」を生かす子育て 改訂版』 吉田 友子著

 

当院は児童思春期が専門なわけではないですが、この本は非常に勉強になりました。内容は素晴らしく、イギリスでも翻訳版が出版されているということです。国外の本を翻訳して日本に輸入ということはよくありますが、日本国内の専門書が海外で翻訳されるということはあまり聞きません。国を超えて、多くの方が価値を認めている本といえるでしょう。

 

自閉症スペクトラム障害高機能自閉症アスペルガー症候群、広汎性発達障害など色々な言葉がありますが、要するに何が特徴なのかということを具体例を豊富に交えながら説明してくれます。

本書の素晴らしいところは、著者の実践が活かされていて、どう対処したらよいか、どう子育てをしていったらよいのか、アドバイスが明確に示されていることです。

約3分の1がどんな特徴があるのか、もう3分の1がどう子育てをしていくか、残りが、Q&Aで構成されています。200ページほどの本で、書いている文章は決して難しくはないのですが、内容が非常に濃いので、読み終えるのに一苦労します。

何度も読む必要があるし、その価値がある本だと思います。迷った時に読み返すとそのたびに発見があるでしょう。

この著者の本は他にも色々あるようですので、これから読んでみようと思っています。

 

身近な人、支援者の方にぜひおすすめです。読むのは大変かもしれません。するめのようにじっくりと何度も味わっていただくとよいように思います。幼稚園や小学校にもぜひともおいてほしいですね。

(医療者向け:医療者としては、診断やこれからのヒントを得るために、幼少期のお話を詳しく聞くことが重要だとあらためて思いました。児童思春期を専門にしていなくてもPARS-TRやADOS-2のようなツールを使っていく時間を確保することが今後の課題でしょう。ADOS-2のようなツールにも保険点数がつくとよいですが。)

 

 

高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て 改訂版

高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て 改訂版

 

 

本の紹介: 人見知りが治るノート

当院の本棚の本の紹介です。今回は

「人見知りが治るノート」反田 克彦 著を紹介します。

 

人の注目を浴びる場面で、人から否定的な評価を受けることを極端に心配してしまって、日常生活に支障をきたしてしまう方がいます。

人から否定的な評価を受けるのではという不安が強いことは、逆に言うと評価されたいという願望の裏返してもあります。そういう不安を感じるからこそ、工夫をしたり努力をする力の元にもなるので、一概に不安が悪いというわけではありませんが、あまりに不安が強すぎて日常生活に支障をきたしてしまうのはご本人も辛いでしょう。

薬物の治療もあるのですが、やはり実際の場面でどうやって対処していけばよいかというヒントも欲しいというのが患者さんの希望でしょう。そんな時に、この本など良いかもしれません。

今年に入ってあるカウンセラーさんに紹介してもらった本で、読んでみるととてもよくまとまっています。著者の独断のようなところもごくごくわずかにありますが、本書の良さに比べるとそんなところは無視できる程度です。

どんな仕組みで不安に感じるのかが詳しく紹介されて、それから具体的な対策が示されます。注意コントロール、リラクゼーション、考え方のバランスをとる方法、行動の練習がコンパクトに紹介されています。

文字も大き目で読みやすいです。具体例も色々あり、参考になることがあるのではないでしょうか。認知行動療法ベースの本です。

 

人とのかかわりで不安を感じすぎてしまう方には、森田療法関係の本も面白いかもしれません。これとは別に、ちょっと以前にビジネス書の中に人前での発表の本でよさそうな本があったのですが、タイトルチェックせずに流してしまいました!また見つけてみようと思います。

 

 

人見知りが治るノート

人見知りが治るノート

 

 

 

とある精神科病院に見学に行きました、そうして刺激をうけて・・・

これまで色々な精神科病院を見てきました。

常勤で勤務していた時もありますし、定期的に当直、不定期で当直、ヘルプで当直などもしてきました。そうすると、良くも悪くもそれぞれの精神科病院が良く見えるのです。

しかし、開業してから精神科病院での当直をすることがなくなってきたので、自分から見に行かなければ精神科病院を見る機会がありません。

特に状態が悪い患者さんの入院をお願いする入院先の様子もしっかり見ておく必要があります。

そんなわけで先日とある精神科病院の見学に行きました。直接・間接的にお世話になってきた病院で、私のかつての上司も一時勤務されていました。

 

一般の病棟もきれいだったのですが、リワーク病棟がホテルのようにきれいでした。病室などなども拝見しました。これだけきれいなところであれば、ゆっくりと休むことができるだろうなと思います。そもそもhospital(病院)はhospitality(おもてなし)、hotel(ホテル)という言葉と語源が同じです。当院は病院のように大きくはありませんが、患者さんの気持ちを少しでも和らげる環境というものも考えていかなくてはならないと思いました。私も病院を受診する時は緊張しますから、当院に来られる方も来るだけで緊張されるのではと思います。

そんなわけで、診察室のレイアウトを変えてみました。これから電子カルテの入れ替えもあり、パソコンを増やすために机も増やさなければならないと事情もありましたが・・・待合室にも空気清浄機を設置しました。

 

診察待ちの時間を有意義にできるように、色々な精神科セルフヘルプの本も置いてありますが、気軽に読めるものも考えなければいけませんね。音楽も・・・五感を和らげるクリニックとなるように、まだまだ改善の余地はたくさんです・・・

 

本の紹介: おサケについてのまじめな話

クリニックの本棚にある本の紹介です。

今回は 「おサケについてのまじめな話」 西原理恵子月乃光司 です。

 

アルコール依存症についての話です。西原理恵子さんは漫画家で、「毎日かあさん」などご存知の方がいるかもしれません。

西原さんの元夫はジャーナリストでアルコール依存症でした。本書では西原さんのパートは家族の経験としてのアルコール依存症、月乃さんのパートはアルコール依存症患者としての経験が紹介されています。最後にお二人の座談で締めです。

西原さん曰く、夫は最初は家で暴れていたものの、外では愛想よかったので病気とは思っていなかったようです。アルコール依存症が病気とも知らなかったということ。夫は最後癌でなくなるのですが、それまでにどうやってアルコール依存症治療を受けるようになったのか、最後どのようにまた家族として一緒によい関係に戻ることができたたかが紹介されています。

月乃さんは精神科病院に3回入院、自殺未遂もしたという、かなり波乱万丈の人生を送ってきました。依存症という体験がどういうものか、リアルに描写されています。

文字ばかりの本なのですが、そんなに厚くなく、文字も大きくて、語り口調で書かれているせいか、非常にテンポよく読み進めることができます。描写もリアルで、引き込まれてしまうということでしょうか。抽象的なアルコール依存症解説書ではなくて、アルコール依存症体験記のような感じで、きっと読んだ方の胸には実感をもって響くものと思います。

それでいて、アルコール依存症についての知識は結構しっかりまとめられているので勉強にもなります。

 

うちの家族、アルコール飲みすぎじゃないかとちらっと思われているご家族にも、アルコールのことを人から言われたり、ちょっと飲みすぎかなと思われている方にもおすすめです!

 

 

 

地域活動支援センター「ザイン」、就労継続支援B型「アズイット」の見学に行きました!

先日、地域活動支援センター「ザイン」に見学に伺いました。

ザインに見学に行こうと思ったら、隣が同系列の就労継続支援B型「アズイット」でしたので、一緒に見学しました。

 

アズイット トップ

 

地活を見学する時にいつも場所がわからなくて困ってしまいますが、よくよく聞いてみると看板を出せない決まり?のようなものがあるようなのですね。私がこれまで訪問した地活は、レモンツリーを除いて、本当に普通の家です。ここも普通の家ですが、家と家がくっついているタイプです!(わかりますか・・・?)壁が肌色です。
良元街道沿いに小林から逆瀬川を目指していく途中で、イタリアレストランがあるのですが、その手前当たりですね。

 

ちなみに、就労継続支援B型というのは、B型作業所とも言ったりしますが、きっちり働くのはまだ難しいという方に簡単な作業をしていただきながら仕事の練習をする場所です。A型というのもあるのですが、A型はさらに仕事に近いようなイメージです。

私が見学に行ったときは、髪をとくブラシの、そのとくところ??がそろっているかという検品をしていたり、神社の縁起物のようなもので福の神?を付ける作業をされていました。それぞれ別のフロアで一人ずつ作業をされていました。ブラシの検品は職員のかたが再度チェックしてみられていました。駐車場の清掃や市役所で野菜販売などもされているようです。

 

ちょっと話がずれました。

私がすごいなと思った、「ザイン」「アズイット」の特徴は2つあります。

一つは職員と利用者が上下関係を作らず協働の精神で運営するという理念です。言葉だけかなと思いきや、職員の方が制服とか名札を付けていないので、誰が職員で誰が利用者か最後までわかりませんでした・・・理念を形にしている点、見習わなければと思いました。

もう一つは、地域活動支援センターとB型作業所が隣り合っているところです。二つの家がくっついているというイメージですね。B型は少し仕事を意識する場所ですが、地活も利用しながらB型という利用者もいます。そうすると、地活だけ利用している人も、「あの人がB型やっているなら私も」という感じで、刺激を受けるようです。

仕事なんて想像がつかないと思っている患者さんも多くいらっしゃいますが、これまでの私の経験では、そういう方がゆっくりステップを踏めば、意外に仕事をされて、ご自身の役割を見つけられることも多いです。そうするとずいぶん気持ちも変わられる方もいます。
ただ、身近にそういうステップを踏まれて仕事をされている方がいるのといないのでは、ずいぶんイメージのしやすさも違うと思います。

その点この「ザイン」「アズイット」はとてもよいと思いました。

居場所型の地活とB型、A型の間の交流の機会がもっとあると利用されている方も新しい可能性や刺激を受けることもあるように思います。

 

建物は2階建て+屋根裏です。パソコンの部屋があったり、作業の部屋があったりです。ザインもアズイットも作りは同じです。屋根裏ははしごでのぼります。片方はゆっくりできるスペースがあって、もう片方の家のほうはダンベルがあったりして運動できるそうです。夏は暑そうですが、静かで落ち着きました。

ある部屋では何人かでUNOしていたり、ある部屋では、駐車場の清掃の報告をしていたり、内職していたりです。ただ、誰が職員なのか利用者なのか、やっぱり見分けがつきません。

もともとは発達障害の方の居場所としてスタートしたということですが、現在は発達障害にこだわらず支援をされています。

精神科医の方も勉強会の講師として呼ばれたりされているようなので、私もぜひご協力できたらとお伝えして帰りました。

 

いくつか地活を見てきましたが、一口に地活といっても全然様子が違うので、それぞれの持ち味を患者さんに紹介できるようになったら良いなと思います。そういう情報が障害福祉課などで提供されると患者さんも助かるかもしれません。

しかし!まずは当院がすすんでこのような情報を患者さんに届ける工夫をしていこうと計画しようと思います(このブログも一つです)。また、我々医療機関も地域の就労支援機関の方々と積極的に交流して、お互いの希望や困った点を交流しつつ、新しい解決方法や支援方法を編み出していけたらいいですね。

より多くの患者さんの可能性に貢献したいです。

 

本の紹介: 認知症と診断されたあなたへ

クリニックの本棚にある本の紹介です。

認知症と診断されたあなたへ 小澤勲、黒川由紀子編著

 

認知症の方の家族に向けた本や介護の本は色々とありますが、診断されたご本人への本はなかなかありません。本書は2005年に出版された本で、少し古いですが、認知症と診断された方が心配に思うだろうという点をたくさん書いてくれています。

本の構成は、認知症と診断された方からの疑問や心配に答える形で構成されています。

例えば「食事について、気をつけたほうがよいことはありますか?」とか「家族や周囲のお荷物にはなりたくないのですが…。」という問いに対して、著者が大体1,2ページで答えるという形式です。

取り上げられた疑問を見ていると、こういうことは心配になるだろうなと思うものばかりです。そういう意味では、認知症と診断された人以外が読んでみて、認知症の方を理解しようとするご家族や医療者にもとても役立つ本だと思います。

答えは温かみがあるのですが、頭が良い方が書いているのでちょっと難しく感じるところもあります。文章の中には、他の推薦図書も含まれています。絶版になっているものもありますが、興味があれば、探してみると参考になることがあるかもしれません。

著者はベテランの精神科医です。執筆当時末期の肺がんになられていました。そのような状況で書かれていることを想像すると、患者さんへの思いが伝わってくるようです。小澤勲先生はもうなくなられていますが、この他にも認知症の本を書かれています。難しい本もありますが、医療者には勉強になると思います。

 

認知症と診断されたあなたへ

認知症と診断されたあなたへ

 

 

 

 

訪問看護ステーションの方々とのミーティング

先日、とある訪問看護ステーションの方々と受け持ちの患者さんについて、一区切りの振り返りミーティングを行いました。

これまでは、難しい事例について、訪看含め、色々な関係機関で集まって話し合うという会は時々ありました。

しかし、今回は現状の問題に対してではなくて、振り返りという形でお互いに話をしてみようということを行いました。

こういったことをやろうと思った理由は、まず第一に、その訪問看護ステーションの方が日々非常に丁寧に対応してくださっており、ぜひさらにつながりを強く持ちたいと思ったからです。困っていること、疑問に思われていることをお互いに共有することで、精神科訪問看護をさらに長く続けていただきたいと思いました。私自身もよりよく協働できるように色々伺いたかったこともあります。第二は、当院のようなクリニックがあるということを知っていただき、何かあればお役に立てたらと思ったからです。

30分弱でしたが、お菓子を食べながら、色々なお話ができたと思います。実り多いひと時でした。このような機会が増えたらとても嬉しいことです。

精神科の訪問看護の役割ということも、看護師さんとともに今後深めていきたいです。