こころの診療所 から

宝塚市大橋クリニックの院長ブログです

第一回 就労支援交流会を開催しました

当院が力を入れていることの一つに就労支援があります。社会との接点を持ちたいと考えている方には、就労は入口の一つとなります。

医療機関は主には障害の治療にあたるわけですが、それだけでは、患者さんは家と医療機関の往復のみになってしまいます。そのため、患者さんに他の専門機関の情報を提供し、つないでいくことがとても重要だと考えています。こんな選択肢がありますよ、こんな機会がありますよと、紹介したり、精神保健福祉士と見学に一緒にいったりするわけです。

ところが、診察室に座っているだけでは、就労支援機関の方がどんな方なのか、何をやっているのか、よくわかりません。パンフレットは良く送られてきますが。

一方で、就労支援機関の方もどう医療機関と情報をやり取りしたらよいのか、相談したらよいのか、高いハードルを感じている方も少なくないようです。また、就労支援機関同士も交流が少なく、どんなかたをどこにつないだらよいか、手探りで行っているようです。

このような状況の改善になったらよいなということと、何かよりよいものが作れないかという目的で、当院の近くにある就労支援機関「コスモス」さんと共催で、就労支援交流会を企画しました。当院の精神保健福祉士である、木村がとても頑張ってくれました。

当院合わせて4名の医師、25名の就労支援機関からの参加者があり、「ワールドカフェ方式」という面白い方法で交流をしました。



会は大変好評でした。やはり、色々な方を知れるということが大きかったように思います。今回の目標は達成できました。集まりの感想では、事例検討などもっと具体的、実践的な内容を希望する方もちらほらといらっしゃり、今後の方向性も見えてきたように思います。

手弁当で実施したことと、忙しいなか時間を作っていただくので、頻繁にはできませんが、よりよい就労支援のため貢献できればと思います。またこの会で得られたことを、他でもできるように広げていく工夫も考えたいものです。

 

本の紹介「仕事だいじょうぶの本」

本の紹介です。「仕事だいじょうぶの本」北岡祐子著。

主には仕事の経験が少なかったり、そもそも人とのコミュニケーションの取り方がわからない、なぜか職場でうまくいかない、という方向けの本です。

とても良い本だと思います。

どうあいさつをしたらよいか、指示をうけたらよいか、報告、緊急の連絡、相談、質問、電話の対応、休暇のとりかた、お願いの仕方、断り方、雑談の仕方などなど、非常に詳しく、話し方の例を紹介してくれています。

ハローワークでの相談の仕方や、面接に行くときの服装など、コミュニケーション以外のことも書かれてあります。

イラストもあり、字も大きいので読みやすいですよ。

こんなにわかりやすく、かゆいところに手が届くような本を書けるのは、著者が相当に経験を積まれてきたからだと思います。知人の精神科医がこの本の著者と仕事をしていたことがあるのですが、大変優秀で良い方だったと伺いました。

就労支援を受ける方はぜひ手に取ってほしい本です。新卒で就職前の方が読んでもよいかもしれません。

社交不安症のオンライン治療

社交不安症というのはご存じですか?対人場面で過剰な緊張がでてしまって、日常生活に支障をきたす障害です。薬物療法抗うつ薬ですが、心理療法が有効で、当院でも社交不安症に対する認知行動療法を実施しています。

この社交不安症の認知行動療法のエキスパートが宮崎大学の吉永先生という方で、看護師さんですが、イギリスのオックスフォード大学と共同して研究をされています。当院の社交不安の認知行動療法をトレーニングしてくださったのも吉永先生です。

ただ問題は、社交不安症の認知行動療法というのがなかなか実施しているクリニックがないのです。そこで、吉永先生はオンラインで治療することで、普及を図ろうとしています。

その研究がしばらく前に始まったようで、お知らせをいただきました。通院先がある方でなければならないのですが、今回は研究ベースなので、この心理療法代は無料のはずです。非常にお得な機会ですので、ご興味あればご参加されると良いと思います。

もちろん、当院でも社交不安症の認知行動療法はできます(こちらは有料ですが)ので、ご興味ある方はお声がけください。

naoki-y.wixsite.com

本の紹介「本人と家族のための双極症サバイバルガイド」

久しぶりの本の紹介です。「本人と家族のための双極症サバイバルガイド」デイヴィッド・ミクロウィッツ著。

 

文字が多くてご紹介が遅くなってしまいました。内容は素晴らしいです。

双極症の患者さんからよく聞かれる質問が網羅されています。病気のこと、区別が必要な他の疾患のこと、遺伝のこと、薬のこと、心理療法のこと、妊娠のこと、家族との関係のことなどなど非常に細かく紹介されています。また、実際か架空かわかりませんが、双極症の方の経験談やストーリーが随所にかかれていて、こんな風な生活を送っている人がいるんだなとか、こんな風に困ることがあるんだなということが分かりやすく書かれていました。

心理療法の紹介にも力が割かれていて、実際に実行できる程度まで記述があり、参考になる本も紹介されています。薬物以外にもできることがある、力強く教えてくれます。

この1冊を読めば双極症のことは専門家レベルですね。

ただ、やっぱり文字が多いので最後まで読むのは大変でした。でも双極症の方であればこの本を購入して、疑問が出てくるたびに開くと良いと思います。おすすめです。

また、本書の中で双極症でなくても参考になる部分があるので、後々ご紹介できればと思っています。

(ちなみに本書は双極症の患者さんのご家族から教えていただきました)

診察室のベンジャミンの植え替えをしました

ブログの更新が滞っていますよね。一冊良さそうな本を読んでいるのですが、字が多くて、読み切れておりません!ということで、伸びてしまっているんです。

そんなわけで、現実逃避をかねて、診察室のベンジャミンの植え替えをゴールデンウイークにしました。これまで小さな鉢で、天井までベンジャミンが伸びていました。診察室の窓がやや高いところにあるので、光を求めて高く高くなるんでしょうね。

最近、よく葉が落ちるようになっていたのです。

植え替えをしてみると、鉢に根がびっちりでした。これじゃあ、葉もおちますよね。一回り大きな鉢に植え替えてからは葉も落ちず、なんだか生き生きしているように見えます。(と、せっかく鉢植えしたので、思うようにしています)

ついでに、頭の所を剪定しました。

日の光が少ない下の方は葉がまばらです。これをみると日光の力ってすごいんだなと思います。

ぜひ、皆様もお昼間は日の光を少しでもあびてください。

当院のベンジャミンです。ちらちら見える小物は、防火ボール、アロマディフューザー、もう一つの植物はスパティフィラムというそうです。本当は白い穂が咲くそうですが、日照不足か当院では葉しか見れていません。潜在能力を感じます!当院の職員がおいてくれました。緑はいいですね。

今年も咲きました

カウンセリング室にあるブーゲンビリアが今年も咲きました。

実はひっそりと胡蝶蘭を陰においてあるのですが、本当に水をほとんど上げていないのに、何やらつぼみらしきものが出ている気がします。もしかしたらこちらも咲くんでしょうかね。自然に備わった力というのはすごいものです。

初夏でしょうか。日の光を浴びると、身体のリズムが整います。青空を見上げると、気持ちもよくなるかもしれませんよ。

良い一日を。

 

本の紹介「置かれた場所で咲きなさい」

なんと1か月以上ブログが開いてしまいました。本の紹介を途中まで書いてそこから止まっておりました。

 

「置かれた場所で咲きなさい」という本の紹介です。

 

 

先日寝づらくて、テレビをつけると故郷が映っていて、懐かしく余韻の残る気持ちになりました。それで余計寝るのが惜しくなり、他の番組を見たところ、二・二六事件で陸軍大将を殺した兵隊の弟という方の話があって、その殺された陸軍大将の娘という修道女の話が続きました。父の殺害を目の前で見たとのこと。番組はこの二人の交流と、修道女の人生を追ったものでした。

その方は自分が気が強いとかおっしゃるのですが、雰囲気がとてもやさしく、また紹介される言葉が、何となくその時の自分に響くようで最後まで見てしまいました。

この方は人生を変えるような苦労をされて苦しみ、その時に自分を変える言葉に出会って、その言葉を繰り返しながら生きてこられたので、言葉が人に伝わるのじゃないかなと思います。

パソコンで調べてみると、旭川の出身とか。本も書かれていて、過去にはたくさん売れていた様子です。私は旭川の出身ではありませんが、北海道出身なのでその点も親近感があり、本を購入してみました。そのうちの一つが「置かれた場所で咲きなさい」です。キリスト教の修道女の方だけあって、宗教的な香りが背景にありますが、それでも苦しい時に支えられる言葉はたくさんあるように思いました。

なにせ名言がたくさんあって、何をご紹介しようかと思って、早1か月ほど経過してしまった次第です!他の本の言葉と合わせて、2つご紹介します。

 

 

 

どんなところに置かれても花を咲かせる心を持ち続けよう。

(境遇を選ぶことはできないが、生き方を選ぶことはできる。「現在」というかけがえのない時間を精一杯生きよう。)

学歴や職歴よりもたいせつなのは、「苦歴」。

(これまで乗り越えてきた数々の苦しみ。気がつけば、それらは経験という宝になっている。)

著者の渡辺さんはうつ病も経験されたとのこと。時に自分に厳しすぎると、しんどくなることもあると思います。その時は、自分に優しくしてあげてもいいんじゃないかなと思いますよ。

なにせ名言がたくさんで、選んでいるうちに早1か月以上。その割には2つしか言葉を紹介できなくてごめんなさい!