こころの診療所 から

宝塚市大橋クリニックの院長ブログです

第4回医療と就労支援の交流会を行いました

だいぶ前のご報告になりますが7月に医療と就労支援の交流会を行いました。今回は就労移行支援事業所のウェルビーさんの部屋をお借りしました。スタッフの方もピシッとされていて、部屋もとってもきれいでした。ありがとうございました。

就労支援機関同士のつながり・情報収集をどう工夫したらよいかをテーマに話しあいました。計画相談が結構どこもいっぱいで、空きを探すのが苦労するというお話がありました。計画相談機関の経営上の問題などもあるようでしたが、就労支援機関がスムーズに計画相談を探せるような仕組みができたらと思っています。

つながりというトピックではないですが、医療機関への素朴な疑問もまずまずあるようで、そのところの解消もできたらいいなと思います。

 

 

道で手を振ってくれるおじいさんの話

私は自転車で通勤していることも多いのですが、朝の道すがら、白髪のおじいさんが袋を持って立っています。このおじいさん、自転車で前を通ると、さっと手を挙げてくれるのです。さしづめ「よお!」みたいな感じです。他にも自転車で通る人がいて、どうも通る人、通る人に手を挙げているようです。

時々デイサービスの車に乗っているところに遭遇するので、もしかしたら認知症もあるのかもしれません。

当初は変わった人だなと思っていたのですが、日がたつにつれ、また大変なことがあった時におじいさんが手を挙げてくれると、なんだか後輩を励ましてくれているような、温かい気持ちになります。

この方のことを思い出して、人の役に立つ、とはどういうことだろうと考えました。このおじいさんは、私の代わりに診察をしてくれるわけでもなく、患者さんを良くしてくれるわけでもありません。でも、私の心をふと支えてくれる時がある。そんな私の内面など、このおじいさんは知らないでしょう。

自分が何の役に立っているのだろう、自分など何の役にも立っていないのではと悩むことがあるかもしれません。しかし、物事はそんなに単純ではなくて、生きている限りきっと何かを支えているのだと私は思います。このおじいさんを見ているとそう思うのです。

そう、そういえば昔、家の近くで夕方になると交差点の花壇のふちに座って道を懐中電灯で照らしているおじいさんもいました。事故にあわないようにという気づかいだったのでしょうか?今はもうそのおじいさんはいませんが、記憶には残っています。その記憶も私の心を温かくします。

もしも、これまでに小さなことでも少しでも心温まる記憶があれば、ぜひ時々掘り出して思い出してほしいと思います。きっと何かの支えになると思います。

本当はそんな心温まるものをくれた方に勇気をもって、ありがとうと伝えるとよいのでしょう。きっと伝えられた方も、その言葉によって心温まると思います。

そうやって自分や人の記憶に温かい記憶が残っていく。それがまた次の人へと脈々と続いていくと良いですね。

 

 

本の紹介: うつ病の人の気持ちがわかる本

先日、ワンモア豊中という就労支援機関の依頼で講演をしてきました。

www.1more.jp

「就労支援ガイドブック」という本の編集者の一人がワンモア豊中さんの方で、勉強になるなと読んでいたのですが、そこからなにやらかにやらで、つながりができての講演です。ちなみに、この「就労支援ガイドブック」は、専門家向けの本ですが、精神だけではなく身体まで網羅されておりなかなか良い本です。この本もいつかご紹介したいと思いつつ、1年ぐらいたってしまった。

講演の時に聞きたいと要望があったテーマの一つが、どうやってうつ病の人に声をかけたりサポートしたりしたらよいかというものです。

講演ではコミュニケーションの方法や心がけなどもご紹介しましたが、ご本人の内面についても参考になる本があればと思って、この本を紹介しました。

こういった本に共通することですが、あくまで一例ぐらいに考えたほうが良いかもしれません。それぞれに悩みや姿は違うところもあるので。そこが注意点です。

この本は、中でも大野裕先生という認知行動療法の大家やコンボという熱心なNPOが監修しているので、信頼ができます。

前半には、患者さんの状態やその時の気持ちを、発症から状態が悪化するまでの段階を追いながら書いてあります。その後、どう家族が支えたらよいか、という話、そこから回復過程と社会復帰が続きます。

薄い本で、絵も多くて読みやすい本です。家族としてどうしたらよいかを考えるときにとても参考になると思います。

患者さんのリアルな感覚をより知りたい方は、体験記も良いと思います。(でもこちらも一例なので参考程度に)以前、ブログでも一つ紹介しましたね。

ohashiclinic.hateblo.jp

ohashiclinic.hateblo.jp

それから、双極性障害の方の本も以前紹介しました。

ohashiclinic.hateblo.jp

なんだか今日は本紹介祭りみたいになってしまいました。

クラフトについて(工作じゃないですよー)

先日、神戸市の精神保健福祉職員人材育成研修の講師をしてきました。神戸市のアウトリーチチームの一員として活動しているので、お声がけいただきました。皆さん大変優秀でよく頑張られているなと感心しました。

講師の一人に依存症の方やひきこもりの方の家族支援に取り組まれている方がいて、改めてクラフトのことを考えるようになりました。

クラフトというのは、元々は依存症の患者さんをもつ家族に対して、どう患者さんとコミュニケーションをしたら建設的な行動に結びつくのかを教えてくれる方法です。

うまくいっていない時は、どうしても同じようなパターンの行動をしてしまうものです。そうならないために、まず患者さんのことをよく観察する。どんなタイミングで、どんなことをしたらどうなるのか。良い行動はないか?悪い行動は何か?などなど。そのうえで、コミュニケーションの方法を学んでいきます。

どんな心理療法にも共通することですが、まず「観察」ということがとても重要です。つらい時はどうしても、直接的な解決、方法を知りたいところですが、まずは、「観察」、それが重要です。ただ、観察とはいえ、何をどう観察してよいか、その方法もしっかり学ぶとより整理された、客観的な観察に近づきます。

そんなところを、こういう方法論は教えてくれます。

当院でも家族相談は受けていて、その都度のアドバイスはしますが、クラフトのように体系的に、継続的にご家族にコミュニケーションの方法を身に着けていただく取り組みはしていません。今後、クラフトをご家族向けに提供できるようにしていきたいと計画しています。しばしお待ちください。

以前もブログでご紹介しましたが、また参考になる本を添付します。

 

 

就労支援情報: 宝塚市福祉事業所合同説明会(2025年8月2日土曜日)

本日は就労支援の情報です。

宝塚市の就労支援機関が集まって説明会を行います。8月2日土曜日13時から16時です。

宝塚市生活介護地域包括支援センター、就労継続支援事業所A型・B型、就労移行支援事業所が集まるので、支援を得ながらの就労に興味がある方はぜひ行ってみると良いと思います。

どんなことをしているのか、どんな人がいるのか、説明してくれる人はどんな雰囲気か情報がえられるとおもいますよ。そもそも支援つきの就労ってどんなものかよくわからないかたは、良い機会になると思います。

当院でも木村精神保健福祉士が色々見学に行ってくれていますが、パンフレットを見ると新たにできたところもあるようで、当院も情報収集しなければと思っています。

www.city.takarazuka.hyogo.jp

PCN Reports Reviewer Awardsを受賞しました

精神神経学会からPCN Reports Reviewer Awardsという賞をいただきました。

www.jspn.or.jp

良い査読をしてありがとう、という賞です。査読というのになじみがない方も多いと思います。査読というのは雑誌に提出された学術論文に対して、ここはもっと説明が必要とか、ここはおかしいとか指摘をしつつ、この論文はこの雑誌に載せるのにふさわしいとか、この雑誌に乗せるには質が足らない、とか判断する仕事です。

研究者は自分の研究成果を雑誌に投稿して、掲載されることが業績になります。この研究者はすごい!と評価されるには、とっても有名な雑誌に自分の研究が掲載されることが必要なのです。

この雑誌に掲載すべきかどうかの判断の意見を述べるのが査読です。結構大変なのですが、ボランティアです。

私自身、色々な雑誌の論文の査読をしてきましたが、このPCN reportsという雑誌は良い査読をしたら賞がもらえるというご褒美付きで、今回たまたま受賞しました。

ご覧いただけるとわかりますが、今年は私以外はみんな大学の研究者です。クリニックなのは私だけです。なんかかっこよい感じがしています。

最近、自慢みたいな情報ばかりですみません。皆様のお役に立つ情報もまたお届けしたいと思います。