こころの診療所 から

宝塚市大橋クリニックの院長ブログです

本の紹介「ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本」

久しぶりの本の紹介です。

「ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本」監修 樋口 進。

 

インターネットやゲームはとても身近なものです。便利でもあり楽しくもありますが、一方でやりすぎると、生活が崩れてきます。

どこからが病気なのか、どうしたらよくなるのか?当院も含めて、専門的な治療を提供しているところが少ないのが現状です。ではどうしたらよいか?それにヒントを与えてくれるのが本書です。

監修者は樋口先生といって、依存症治療の世界では知らない人はいない有名人です。依存症治療で有名な久里浜医療センターの名誉院長です。ですので、内容は信頼できます。

ネットやゲームで生活が破綻してしまった人の例、なぜ依存してしまうか、どうなると病気と考えるのか、治療はどうしたらよいか、家族や本人ができる対処法、などが紹介されます。

字も大きくてとても分かりやすいです。

ネット依存・ゲーム依存について知りたければ、とってもお勧めの本ですよ。

色々な情報があると思いますが、樋口先生の本であれば信頼できるので、信頼できるものを選んでくださいね。

座禅で聞いた意外な話

もう随分と昔の話ですが、大学受験に失敗してから、合格するためになんでもやろうと、イメージトレーニングやらアルファー波の出る音楽やら色々試した時がありました。カセットテープに合格イメージを録音して聞いてみたり、今思うと面白いことしていたなと思います。その必死の取り組みの中に瞑想もありました。

その時から細々と、色々な瞑想方法の本を読んでは試してきました。精神科医となって、マインドフルネスという形で瞑想と再会し、医学的な効果も実証されているので、時々患者さんにも瞑想どうですか、とお勧めすることもあります。

当の自分はというと、劇的に何が変わるかというと、びっくりしたものはないですが、18歳のころから時々続けているということは、なにがしかの良さを感じているのでしょう。尊敬するビジネスマンバリバリの義兄も瞑想をしているということを知って、義兄がするならきっと良いだろうという影響もあるのだと思います。

そういえば、大学生の時にサークルのみんなで京都の妙心寺というところに1泊の座禅体験に行ったことを思い出しました。その時、偉いお坊さんが、座禅をしている時間というのはとても贅沢な時間だとおっしゃっていました。確かに、座禅・瞑想をしている時は、日常を忘れて呼吸にとどまる時間で、これがあのお坊さんのおっしゃっていたことかなと思います。

さて、そんなわけで最近はたまに座禅を組みにお寺に行くことがあります。先日そこで聞いた話が少し意外だったのでご紹介します。

紹介された言葉は「大信根(だいしんこん)、大憤志(だいふんし)、大疑団(だいぎだん)」です。禅の修行で大事な3つのことで、最初の大信根というのは、とにかく教えを信じることということですが、若い人に向けて自分の道を信じることというニュアンスで話されていました。これは宗教でよくある、信じること、ですよね。

あとの2つが意外でした。大憤志はなにくそ!と思って頑張ること、大疑団は、常に疑うこと、これで自分はいいのだろうか、と疑うことです。仏教といえば、悟りの境地で、感情に揺るがされず、疑いから離れ、一心に悟りを目指すイメージがありました。でも、なにくそと思って疑って進めということなのです。本当は次元の違う説明があるのかもしれませんが、この2つの説明を聞いたときに、そうか、お坊さんでもそういう気持ちで進んでいるんだったら、僕らみたいに、日常を悩みながら、なにくそと進むのもいいんだなと、何となく安心しました。

日常を悩み、疑いながら、つらいと思ってもなにくそと思って進む。その先に、きっと何かが見えると信じていく。普通の日常なのかもしれませんが、これが大事なのかもしれませんね。

8年目になりました

大橋先生からクリニックを引き継いで8年目に入ります。1日1日と過ぎていく毎日でしたが、昼休みに職員がちょっとこちらに立ってくださいというので、たたずむと、お祝いのお花をくれました。そうして、ああ、そうか7年が過ぎたんだと気づきました。

開業の時、立てた目標は、

1.自分の家族に受けてほしい医療、私自身が受けたい医療を目標にして診療を行う
2.必要な医療や支援が届いていない方に、訪問診療や他機関との連携を通じて、必要な治療や支援を届けることを目指す

でした。

そんな目標を意識しつつ、訪問診療は継続、就労支援機関との交流も始めました。心理療法の幅を広げたいので、少しずつ木村心理師に治療の幅を広げてもらっています。自院での実践を他でもできるようにと、強迫症アプリの研究も行っています。

でも、まだ何かが足りないように感じています。目標はシンプルな方が良いと思っていましたが、果たしてこのままでよいのか。空回りはしていないか。立ち止まりつつ、次の一年を頑張っていきたいと思います。

いずれにせよ、悩みながら進むことができているのも、大橋先生が私にクリニックを託してくださったこと、職員が健康で活躍しているおかげだと思っています。

当院を頼ってきてくださる方も多くいらっしゃるので、それにお応えできるよう精進を続けてまいります。

いただいた花は受付前に置いてあるのでぜひご覧ください。

 

受付前に置きました。ぜひご覧ください。

 

秋の飾り

いよいよ涼しくなってきましたね。

インフルエンザも流行ってきている様子ですのでお体お大事になさってください。

さて、当院でも秋の飾りを少しだけ。診察室に置きました。

〇〇の秋というぐらいですので、何か楽しいこと、心地よいことが見つかると良いですね。

認知行動療法というカウンセリングでは”行動活性化”という技があります。単純に心地よいこと、楽しいことを増やしていくだけなのですが、これがなかなか効果があります。嫌な気持ちでいる時間を減らして、心地よいことをすれば気持ちも軽くなるという発想です。音楽を聴く、空を見る、お茶を飲む、などなど小さな心地よいことを探すのはいかがでしょうか?



 

第4回医療と就労支援の交流会を行いました

だいぶ前のご報告になりますが7月に医療と就労支援の交流会を行いました。今回は就労移行支援事業所のウェルビーさんの部屋をお借りしました。スタッフの方もピシッとされていて、部屋もとってもきれいでした。ありがとうございました。

就労支援機関同士のつながり・情報収集をどう工夫したらよいかをテーマに話しあいました。計画相談が結構どこもいっぱいで、空きを探すのが苦労するというお話がありました。計画相談機関の経営上の問題などもあるようでしたが、就労支援機関がスムーズに計画相談を探せるような仕組みができたらと思っています。

つながりというトピックではないですが、医療機関への素朴な疑問もまずまずあるようで、そのところの解消もできたらいいなと思います。

 

 

道で手を振ってくれるおじいさんの話

私は自転車で通勤していることも多いのですが、朝の道すがら、白髪のおじいさんが袋を持って立っています。このおじいさん、自転車で前を通ると、さっと手を挙げてくれるのです。さしづめ「よお!」みたいな感じです。他にも自転車で通る人がいて、どうも通る人、通る人に手を挙げているようです。

時々デイサービスの車に乗っているところに遭遇するので、もしかしたら認知症もあるのかもしれません。

当初は変わった人だなと思っていたのですが、日がたつにつれ、また大変なことがあった時におじいさんが手を挙げてくれると、なんだか後輩を励ましてくれているような、温かい気持ちになります。

この方のことを思い出して、人の役に立つ、とはどういうことだろうと考えました。このおじいさんは、私の代わりに診察をしてくれるわけでもなく、患者さんを良くしてくれるわけでもありません。でも、私の心をふと支えてくれる時がある。そんな私の内面など、このおじいさんは知らないでしょう。

自分が何の役に立っているのだろう、自分など何の役にも立っていないのではと悩むことがあるかもしれません。しかし、物事はそんなに単純ではなくて、生きている限りきっと何かを支えているのだと私は思います。このおじいさんを見ているとそう思うのです。

そう、そういえば昔、家の近くで夕方になると交差点の花壇のふちに座って道を懐中電灯で照らしているおじいさんもいました。事故にあわないようにという気づかいだったのでしょうか?今はもうそのおじいさんはいませんが、記憶には残っています。その記憶も私の心を温かくします。

もしも、これまでに小さなことでも少しでも心温まる記憶があれば、ぜひ時々掘り出して思い出してほしいと思います。きっと何かの支えになると思います。

本当はそんな心温まるものをくれた方に勇気をもって、ありがとうと伝えるとよいのでしょう。きっと伝えられた方も、その言葉によって心温まると思います。

そうやって自分や人の記憶に温かい記憶が残っていく。それがまた次の人へと脈々と続いていくと良いですね。