こころの診療所 から

宝塚市大橋クリニックの院長ブログです

病気・障害について

慢性痛の認知行動療法

細越寛樹先生という方が、慢性痛に対する認知行動療法(心理療法)の研究を行っています。お会いした時に、そのお話は伺っていました。 患者さんの中には、痛みに困っている方もおり、勉強しないとなと思っていましたが、他のことに気を取られ、延び延びの状…

本の紹介: 下手くそやけど なんとか生きてるねん。

本の紹介です。「下手くそやけど なんとか生きてるねん。」渡邊洋次郎著。 アルコールと薬物の依存症になり、48回も精神科の入退院を繰り返し、刑務所への服役もしたという、壮絶な著者のこれまでの自伝でもあり、依存症回復への希望の本でもあります。 下手…

本の紹介 「脳科学者の母が、認知症になる」 

本日は久々に本の紹介です。「脳科学者の母が、認知症になる」恩蔵絢子著。 脳科学者の母が、認知症になる 記憶を失うと、その人は“その人”でなくなるのか? (河出文庫) 作者:恩蔵絢子 河出書房新社 Amazon 著者は脳科学者です。母が認知症になり、脳科学の…

過敏性腸症候群の治療研究について

私は現在、京都大学医学研究科健康増進・行動学分野というところの客員研究員をしているのですが、同じ研究室に所属している医師が、過敏性腸症候群に対する動画併用治療の研究をしています。 もともと彼女は過敏性腸症候群に対する集団治療で素晴らしい効果…

本の紹介: 「カモフラージュ 自閉症女性の知られざる生活」

最近、珍しくいろいろ本を読んでいます。またブログでも紹介していこうと思いますが、今回は「カモフラージュ 自閉症女性の知られざる生活」サラ・バーギエラ 著、田宮裕子、田宮聡 訳をご紹介します。 カモフラージュ――自閉症女性の知られざる生活 作者:サ…

本の紹介: 私が欲しかったもの

今回は本の紹介です。「私が欲しかったもの」著者 元マラソン選手 原裕美子。 私が欲しかったもの 作者:原 裕美子 双葉社 Amazon 摂食障害とそれにまつわる窃盗症で苦しんだ原さんの自伝です。もしかしたら、ニュースで見たことがあるかもしれません。 私は…

本の紹介: 家族ができる摂食障害の回復支援

久しぶりの本の紹介です。「家族ができる摂食障害の回復支援」鈴木高男著。 家族ができる摂食障害の回復支援 作者:鈴木 高男 星和書店 Amazon 他の本を購入しようと調べていて、目についたので買った本です。摂食障害の子供をもち、家族会を立ち上げた方が執…

本の紹介: 認知症の語り

久しぶりに本の紹介です。「認知症の語り」ディぺックスジャパン著 認知症の語り ―本人と家族による200のエピソード 日本看護協会出版会 Amazon ディペックスという組織をご存じな方は少ないと思います。(ぺをベにすると他の会社が出てくるので要注意です)…

ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテストに行ってきました

強迫性障害を動画で治療しようというプログラムを開発しています。一作目は3名の方にトライアルをしていただき、なかなかよい結果でした。ただ、もうちょっと、継続的に取り組めるような工夫が必要というところが課題で残りました。現在、2作目に取り掛か…

本の紹介: 自分で治す「社交不安症」

本の紹介です。”自分で治す「社交不安症」” 清水栄司著。 社交不安症とはどんな障害でしょうか?人に接する場面で強い不安を感じてしまい、人前に出たり、人との接触を回避してしまう病気です。それが日常生活に支障がでるレベルになってしまう状態のことで…

専門家向け: 人を介しない強迫症治療ソフトのシステマティックレビューレビュー

専門家向けの話題です。 私の専門の一つに、システマティックレビュー&メタアナリシスというものがあります。これは、ある疑問に対して、これまで行われた研究を総合して、どういう答えが得られるかをまとめる研究です。 例えば、〇〇病に対して△という薬が…

本の紹介: 「強迫症を治す」

今回は「強迫症を治す」という本の紹介です。 強迫症を治す 不安とこだわりからの解放 (幻冬舎新書) 作者:亀井士郎,松永寿人 幻冬舎 Amazon “強迫症”をご存知でしょうか?強迫症とは、確認、汚れ、不吉な考え、物の整列や数字に関することが気になって、何度…

本の紹介「東大教授、若年性アルツハイマーになる」

今回は本の紹介です。「東大教授、若年性アルツハイマーになる」若井克子著。 以前、認知症の専門家が認知症になって書かれた本をご紹介しました。 ohashiclinic.hateblo.jp ご自身からみた認知症の様子について、今もよくご紹介する本です。残念ながら、長…

本の紹介: そろそろお酒やめようかなと思ったときに読む本

本の紹介です。「そろそろお酒やめようかなと思ったときに読む本」垣渕洋一著。 「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本 作者:垣渕 洋一 青春出版社 Amazon この本は患者さんから紹介された本です。お酒をやめて、とても調子が良くなりましたと…

本の紹介: ADHDの子どもたちをサポートする本

お子さんがADHDと言われている方に時々お会いします。参考になる本はないかなと探していたところ、とてもよい本を見つけました。「ADHDの子どもたちをサポートする本」です。 障害の様子から原因、治療、どうサポートするかなど非常に詳しく書かれてあります…

本の紹介: きみもきっとうまくいく 子どものためのADHDワークブック

今回は本の紹介です。私自身落ち着きがないほうなのですが、集中力、落ち着きのなさが生活に支障をきたす障害としてADHD(注意欠如・多動症)というものがあります。 今回ご紹介する本は、小さいお子さん向けの本です。ADHDの本というと子供向けとはいえかな…

新型コロナウィルスワクチンについて

時々患者さんから新型コロナウィルスワクチンについて質問されます。 打つか打たないかは個人の判断ですが、できる限り正しい情報に基づいて決断したいものです。かといってわかりやすくなければなかなか見る気になれませんよね。 というわけで、私のお勧め…

コロナに負けないこころのケア

先日心理療法の研修を受けたら、講師の方が良いサイトを紹介してくれました。国立精神・神経センターのサイトです。 www.ncnp.go.jp 不安とどう付き合って行ったらよいかのヒントがあります。前回ご紹介した座禅とは異なる呼吸法の紹介もあります。私は座禅…

認知症の40%は予防できる!

昨日、認知症についての講演会をしてきました。主催者の方もしっかり対策をしてくださり、Webでの講演会となりました。これからはこういう形式でないと聞く人も話す人も心配ですよね。 内容は、「認知症の予防や対策」についてです。今年にランセットとい…

本の紹介: 病的ギャンブラー救出マニュアル

今回も本の紹介です。「病的ギャンブラー救出マニュアル」伊波真理雄著です。 ギャンブル依存についての本ですが、医療者だけではなく、NPOの方や実際にギャンブル依存の経験者も執筆者に入っており(というかそちらの方が執筆している量が圧倒的に多い)…

本の紹介: 「もし部下が発達障害だったら」

本日は本の紹介です。「もし部下が発達障害だったら」佐藤恵美著です。 当院でもたまに会社の上司から発達障害じゃないか見てもらってこいと言われて受診する方がいます。そんな現状と医療側のできることをしっかりと紹介してくれているのが本書です。 もし…

専門家向け: うつ病についての論文が出版されました

うつ病とは何か?疾患概念に関わる思い入れのある研究が出版されました。 link.springer.com うつ病と抗うつ薬による治療には根強い考えがあります。それは、内因性うつ病、DSMでいうところのメランコリックタイプには抗うつ薬が良く効くが、そうでないもの…

本の紹介: 自分でできる認知行動療法

今日は本の紹介です。「自分でできる認知行動療法 うつ・パニック症・強迫症のやさしい治し方」清水栄司著 先日認知行動療法のマンガをご紹介しましたが、こちらは実際にカウンセリングを受けるときはこんな感じで流れていくのだというイメージを持っていた…

”ひきこもり”についての論文を書きました(研究者向け)

しばらくブログの投稿をしていませんでした・・・なんでしょうか、気力が今一つ湧かず。気候で調子を崩す患者さんもいらっしゃいますが、私もそんなところがあるのかもしれません。 さて、以前勤めていたクリニックで行った”ひきこもり”に関する研究が論文に…

本の紹介: パニック障害でもがんばれる!

今日も本の紹介です。「パニック障害でもがんばれる!」ほり みき著 パニック障害の様子がよくわかる本です。それにマンガなのでとっても読みやすい。 パニック障害というのは急に動悸や息苦しさ、発汗、死んでしまうんじゃないか、などなどの症状が出現して…

本の紹介: マンガでわかる アンガーコントロールガイド

今日も本の紹介です。 「マンガでわかる アンガーコントロールガイド」清水栄司著。 怒りのない人はいないですよね。一方で、怒りとどう付き合うか。なかなか難しいものです。 本書はその怒りとの付き合い方をわかりやすく紹介しています。認知行動療法とい…

本の紹介: うつ病九段 漫画版

先日、『うつ病九段』を紹介しました。大変面白いのですが、文字だけなのでとっつきにくい方もいらっしゃるかもしれません。 漫画版が出ているということで早速見てみることにしました。 結論から言うと、文字の本をそっくり再現していて、絵なので読みやす…

本の紹介: うつ病九段

クリニックの本棚にある本の紹介です。「うつ病九段」先崎学著 プロ棋士がうつ病になり、そこから回復していくご本人の体験談です。かなり思いうつ病になり、入院、退院、徐々に元気になっていく様子が描かれていますが、非常に読みやすいです。うつ病の経過…

本の紹介: ひきこもりなんて、したくなかった

過酷な人間関係から、不登校、精神科入院、ひきこもり、そこから新しい人間関係を見つけていく実体験のお話です。 非常に表現力のある方で、素直な様子が文章から伝わってきました。家族や教師、医師とのつらい過去の話は、読んでいて胸を締め付けられるよう…

本の紹介: 私がひきこもった理由

本の紹介です。「私がひきこもった理由」田辺裕著 ひきこもり経験者が15人のひきこもり経験者に会ってインタビューするという本です。なかなかできるものじゃありません。インタビューの雰囲気も伝わってきます。 それぞれの方の話を読んでいると、一口にひ…