こころの診療所 から

宝塚市大橋クリニックの院長ブログです

オキシトシンの話を聞いてきました(研究段階のお話)

昨日は阪神精神科医会学術講演会の座長をしてきました。座長といっても、お話をほんの少しまとめるだけの役ですが・・・

浜松医科大学の山末先生が、オキシトシン自閉症スペクトラム障害のお話をして下りましたが、非常に勉強になりました。オキシトシンによりアイコンタクトや表情の認識の仕方が変わるということ。しかし、一方で何回もオキシトシンを投与するとその効果がなくなってしまうという現状の研究のお話です。

私自身は社会性というのは学習、特に文化の影響を受けるものと考えていましたが、物質でこのような社会性が変化するということは、社会性とはそもそも体に組み込まれたものと考えても良いのかもしれません。まだその考え方には違和感がありますが、山末先生はそのようにお考えでした。なかなか衝撃的です!

遺伝子レベルから、脳の画像レベル、心理課題を使った行動レベルの研究を綿密に積み重ねていらっしゃり、研究の醍醐味をみた気持ちでした。

オキシトシンは今後非常に面白い物質のように思えました。しかし、まだ治験を経ていないので、我々の臨床にとどくまでには時間がかかりそうです。世の中には、そのようなもどかしさを逆手にとって、効果が確定していないものを販売する危険な業者もいますから、くれぐれもそのような業者には引っかからないようにしてください。