こころの診療所 から

宝塚市大橋クリニックの院長ブログです

お話ししてきました: うつ病とは何か? 歴史・人生・多文化の視点から考える (専門家向け)

先日、三宮で医師向けに講演してきました。

うつ病という概念について、特にDSM-IIIからの操作的診断が出現するに至った面白いエピソードをKendlerさんの論文を引用して紹介しました。多くの人がうつ病とは〇〇だという定義を提唱してきました。精神医学の信頼性が揺らいだ1950年代、60年代を経て、信頼性を高めるための一つの答えが操作的診断だったかもしれませんが、これもまた人間の観察に基づくものだったというものです。

うつ病の診断については、内因性うつ病の妥当性なども面白いトピックですが、今回は触れませんでした。こちらは現在作成中の論文を発表出来たらまた世の中にも提案する価値があるトピックだと思います。

人の一生の中でもうつ病がどのように変遷するかをいくつかの研究を紹介しました。どうやら一様なものではないということが私の意見です。

多文化の視点では、私がかつて行った、チベット、台湾、土佐町のうつ病の説明モデルの研究を紹介しました。

疾病概念、その成立過程については常々興味があり、Amokの研究もしましたが、まだ手元に未発表のデータがあるので、早いこと論文にしなければと思っています。