こころの診療所 から

宝塚市大橋クリニックの院長ブログです

今年も咲きました

カウンセリング室にあるブーゲンビリアが今年も咲きました。

実はひっそりと胡蝶蘭を陰においてあるのですが、本当に水をほとんど上げていないのに、何やらつぼみらしきものが出ている気がします。もしかしたらこちらも咲くんでしょうかね。自然に備わった力というのはすごいものです。

初夏でしょうか。日の光を浴びると、身体のリズムが整います。青空を見上げると、気持ちもよくなるかもしれませんよ。

良い一日を。

 

本の紹介「置かれた場所で咲きなさい」

なんと1か月以上ブログが開いてしまいました。本の紹介を途中まで書いてそこから止まっておりました。

 

「置かれた場所で咲きなさい」という本の紹介です。

 

 

先日寝づらくて、テレビをつけると故郷が映っていて、懐かしく余韻の残る気持ちになりました。それで余計寝るのが惜しくなり、他の番組を見たところ、二・二六事件で陸軍大将を殺した兵隊の弟という方の話があって、その殺された陸軍大将の娘という修道女の話が続きました。父の殺害を目の前で見たとのこと。番組はこの二人の交流と、修道女の人生を追ったものでした。

その方は自分が気が強いとかおっしゃるのですが、雰囲気がとてもやさしく、また紹介される言葉が、何となくその時の自分に響くようで最後まで見てしまいました。

この方は人生を変えるような苦労をされて苦しみ、その時に自分を変える言葉に出会って、その言葉を繰り返しながら生きてこられたので、言葉が人に伝わるのじゃないかなと思います。

パソコンで調べてみると、旭川の出身とか。本も書かれていて、過去にはたくさん売れていた様子です。私は旭川の出身ではありませんが、北海道出身なのでその点も親近感があり、本を購入してみました。そのうちの一つが「置かれた場所で咲きなさい」です。キリスト教の修道女の方だけあって、宗教的な香りが背景にありますが、それでも苦しい時に支えられる言葉はたくさんあるように思いました。

なにせ名言がたくさんあって、何をご紹介しようかと思って、早1か月ほど経過してしまった次第です!他の本の言葉と合わせて、2つご紹介します。

 

 

 

どんなところに置かれても花を咲かせる心を持ち続けよう。

(境遇を選ぶことはできないが、生き方を選ぶことはできる。「現在」というかけがえのない時間を精一杯生きよう。)

学歴や職歴よりもたいせつなのは、「苦歴」。

(これまで乗り越えてきた数々の苦しみ。気がつけば、それらは経験という宝になっている。)

著者の渡辺さんはうつ病も経験されたとのこと。時に自分に厳しすぎると、しんどくなることもあると思います。その時は、自分に優しくしてあげてもいいんじゃないかなと思いますよ。

なにせ名言がたくさんで、選んでいるうちに早1か月以上。その割には2つしか言葉を紹介できなくてごめんなさい!

 

    

 

 

慢性痛の認知行動療法

細越寛樹先生という方が、慢性痛に対する認知行動療法心理療法)の研究を行っています。お会いした時に、そのお話は伺っていました。

患者さんの中には、痛みに困っている方もおり、勉強しないとなと思っていましたが、他のことに気を取られ、延び延びの状態です。

本日、細越先生の慢性痛に対する認知行動療法のご講演のビデオをみて、実践する価値がとってもあると思いました。

ただ、細越先生のグループで、慢性疼痛に対する認知行動療法プログラムの効果の検証をされているようで、ご希望の方で、かつ対象に合致する方は、そちらのプログラムに参加したほうがベテランの治療者が治療してくれるのでメリットがあると思います。

今回はそのリンクを紹介します。ご興味お持ちの方は、お声がけください。

jacc-pain.wixsite.com

以前は過敏性腸症候群心理療法の臨床研究もご紹介しましたね。そちらも再度ご紹介します。

www.youtube.com

皆さん、志高く頑張っていらっしゃるので、私も頑張らないとなと思っております!

マイナンバーカード受付の自作「目隠し」

2024年12月2日から保険証が廃止されて、マイナンバーカードか、資格確認書での受付になります。

当院ではマイナンバー受付機を早い時期から導入していますが、まだマイナンバーカードを使用される方は少ないですね。

患者さんから、マイナンバーカードの受付時に、画面のタッチパネルでボタンを押すと横から見えるようで抵抗があるとおっしゃっていた方がいました。

機械の画面は横から見ると、黒くなって他の人からは見づらい工夫はされているのですが、確かに、おっしゃる不安もわかるので、目隠しを自作してみました!

これだとさらに見づらいと思います。ご活用いただけますと幸いです。

下の空間にマイナンバーカードを置くところがあります。
そこにカードを置くと、顔認証の画面がでて受け付けが始まる仕組みです。

 

横から見たら画面が黒くなって見えづらくはなりますが、
確かに、何か押すときに見られたくないですよね。

そこで、目隠しを自作しました!
これだと見えないですね。ご活用いただけますと幸いです。

ちなみに、マイナンバーカード受付機の横にあるのは、スピーカーです。これはギターとかに使うアンプ付きのスピーカーなのですが、こういうのもネットで調べながら設置したんです。普通のクリニックだと、業者が天井から声が出る呼び出しとかを設置するんでしょうね・・・本棚も実は自作です。

本の紹介: 弱さでつながり社会を変える

今回も本の紹介です: 「弱さでつながり社会を変える」渡邊 洋次郎 著

 

前回ご紹介した著者の第二作目です。今回は自伝ではなくて、色々な分野の方との対談集です。精神科医師、カウンセラー、元厚労省事務次官、教育学者、神学者、と対談者は多彩です。

文字数も多くなくて、人と人の会話を横で見ている雰囲気で読み進められるので、気楽に目を通せました。それでいて、それぞれの方の個性が浮き出るようで面白かったです。

厚労省事務次官の村井さんが今、こんなことしているんだ、とか話の本筋からずれますが発見もありました。本書ではカウンセラーの伊藤絵美さんとの対談がありました。この方は認知行動療法のベテランですが、スキーマ療法の本も紹介されていて、今度買ってみようと思いました。神学者の高木慶子さんは、なんだかピシッと渡邊さんのことをたしなめるというか、愛のある一言を放ったりして、私は存じ上げない方でしたが、神学者の雰囲気を感じることができました。

何というか、気楽に読める本でした。当院の待合に置いてありますので、待ち時間にでもどうぞ。

 

 

本の紹介: 下手くそやけど なんとか生きてるねん。

本の紹介です。「下手くそやけど なんとか生きてるねん。」渡邊洋次郎著。

アルコールと薬物の依存症になり、48回も精神科の入退院を繰り返し、刑務所への服役もしたという、壮絶な著者のこれまでの自伝でもあり、依存症回復への希望の本でもあります。

 

 

表紙は著者の直筆と思われる文章や題が書かれてあり、なかなかリアルです。内容も辛いほど濃くて、読みながらこちらも辛くなるような怖くなるような、悲しくなるような、色々な感情を起こさせる本でした。

一番のメッセージは、人は変わることができる、ということではないかと思います。こんなに大変な人生を送っていた著者ですが、今は依存症回復施設の職員をしています。海外にも見学に行ったり、活躍されているようですよ。

めちゃくちゃな生活をしていた時は、希望など見えなかったかもしれませんが、こういう本を読むと、どんな人にでも人生に希望はあると信じなければいけないと思います。それは本人も支援する人も。ただ、大変な時は本当に大変でしょうけれど。

そういった意味で、支援者も経験を積む、成功体験を積むということが大事なんでしょうね。継続は力なり。

この著者の他の本も最近出版されたので、また改めて紹介しますね。

本の紹介「グッド・ライフ」

「グッド・ライフ」という本の紹介です。アメリカはやっぱりすごい。ハーバードでは同一家族、二世代にわたって、八十年以上、人を追跡した調査があります。こんなに長い間追跡するなんて、相当にすごいですよね。この本はその調査をメインに、良い人生を送るには何が大切かを紹介した本です。

 

 

 実はこのハーバードの調査に関する本はこれまでも何冊か出版されてきました。私はこの前の本を読んだ時に、いたく感動してぜひ翻訳したいといくつかの出版社に掛け合ったのですが、実現できませんでした。しかし、今回別の著者が書いたものが翻訳されていることを知りました。それがこの「グッド・ライフ」です。ですので、私にとっては、ちょっと悔しいような、でも読みたいような、そんな気持ちでした。

 これまでこの調査を扱った本と今回の本の違いは、他の似たような調査結果も含みながら考察しているところです。人を長く追跡した調査はハーバードのこの調査ばかりではありません。世界にはいくつかの有名な長期追跡研究があります。一つの研究で、○○じゃないかと想像されたことが、他の研究でも結果が一致していれば、かなり信ぴょう性が高くなりますよね。本書はそうやって、できるだけ科学的に論じようとしています。

 その結果、本書は、幸せと健康と長生きに関係しているものは、良い人間関係だと、結論しています。ではよい人間関係を持つにはどうしたらよいか?それがいろいろな面から説明されています。人との関わりを持つこと、人に注意や気配りを向けること(携帯を離れて!)、相手の気持ちを理解しようと努力すること、問題から目を背けない事などなどが紹介されていました。

 そうか、人間関係が大事なんだと思ったときに、どこか他の本に、死ぬ前によく後悔されることが人間関係ということが書いてあったように思い出しました。たしか、緩和ケアか何かの本だったような。確か、柳田邦男の『「死の医学」への序章』か、『「死の医学」への日記』だったような、と思ってページをめくってみましたが、それらしきことが見当たりませんでした。どこかで見たような。

 それはさておき、やっぱり人と人との関係が大事だなと振り返りました。

 分厚い本ですが、面白かったです。でも、私が翻訳したい本も面白いんだけどな・・・と諦めきれずです。