こころの診療所 から

宝塚市大橋クリニックの院長ブログです

”ひきこもり”についての論文を書きました(研究者向け)

しばらくブログの投稿をしていませんでした・・・なんでしょうか、気力が今一つ湧かず。気候で調子を崩す患者さんもいらっしゃいますが、私もそんなところがあるのかもしれません。

さて、以前勤めていたクリニックで行った”ひきこもり”に関する研究が論文になりました。
 
どのくらいの”ひきこもり”経験者がクリニックの初診を占めて、その後どうなっていくのか?

bmcpsychiatry.biomedcentral.com

驚くべきことに50%弱の初診患者さんが過去にひきこもりの経験があるか、現在ひきこもり状態にあることがわかりました。調査したクリニックは特殊で、精神保健福祉士が多く、デイケア、訪問診療に力を入れていて、ひきこもり外来を週2日午前のみ開いていました。しかし、それにしても多い。びっくりです。特に過去にひきこもり経験がある方がたくさんいたのには驚きました。
現在、当院でも同様の結果になるか、検討しよう思っています。
介入は試行錯誤です。本当に悩ましい。切迫してくると私たちも強いプレッシャーを感じます。介入も研究をすすめなければ。

本の紹介: パニック障害でもがんばれる!

今日も本の紹介です。「パニック障害でもがんばれる!」ほり みき著

パニック障害の様子がよくわかる本です。それにマンガなのでとっても読みやすい。

パニック障害というのは急に動悸や息苦しさ、発汗、死んでしまうんじゃないか、などなどの症状が出現してしまう障害です。1時間以内に発作の症状は治まるといわれていますが、あまりに怖いので外出や特定の場所を避けてしまうようになったりすることがあります。

この本にはパニック障害で精神科・心療内科に受診するまでの様子も書かれているので、パニック障害をお持ちの方は、あー、そうそう、という場面がたくさん出てくると思います。ご家族にもぜひ読んでいただけると、こういう感じなのかと理解が深まるでしょう。

著者はイラストレーターでもあるし、パニック障害も持っている方なので、実感を持って書かれているのでしょう。その方の様子が伝わってくるようです。

 パニック障害を知るためにはおすすめです。

 

本の紹介: マンガでわかる認知行動療法

蒸し暑い日が続きますね。皆様お体お大事になさってください。

さて、本の紹介「マンガでわかる認知行動療法」大野裕著です。

世の中にはたくさんのカウンセリングの方法があります。皆様はカウンセリングというとどのようなものを思い浮かべるでしょうか?

認知行動療法は世界で最も科学的な研究が進んでいるカウンセリングの方法の一つです。最も研究が進んでいるというと、一番良いように聞こえるかもしれませんが、厳密にいうと一番良いかどうかは科学的に証明されているわけではありません。というのも他のカウンセリングの方法は、科学的に検証しずらいので、比較が難しいことが多いからです。

その点、認知行動療法は、”こういうやり方でやります”という方法が明確にあって、その方法ができているかどうか評価する物差しもあるので、質が担保しやすいのです。他のカウンセリングは、そのカウンセリングがしっかりできているか評価する物差しがあまりないので、本当にうまくできているか検証しづらい。だから、科学的な検証が難しいのです。

さて、その認知行動療法、どんな風なものなのかをわかりやすく解説したのが本書です。 

 どうやら、自分で行うためではなくて、誰かを手助けするという目的で書かれた本のようですが、認知行動療法を知りたいと思う人には誰でも役に立つ本です。

マンガでわかる、と書いてありますが、実際には文章も結構あります。ただ、マンガあるので親しみやすい。かつ、文章もとてもまとまっているし、ポイントを押さえて必要なところをがっちりと説明してくれるので、治療する人にも自分で活用する人にもとても役に立つと思います。

それもそのはず、著者の大野先生は認知行動療法の世界で最も有名といってよい方で、本場で研鑽を積まれて、現在も普及に力を入れている方だからです。

ただ、自分でやってみようという方が、この本だけでできるかというとちょっと難しいように思うので、適切なカウンセラーやセルフヘルプ本が必要でしょう。

認知行動療法、どんなものかなと思った方にはお勧め!それから、支援者向けのメッセージも、なるほどなるほどというものがたくさん載っています。ぜひ、一読を。

診察室の椅子のカバーを変えました 自然イメージと私の思い出

診察室の椅子カバーが擦り切れてきたので、黄緑色のカバーに変えました。

もともとは落ち着いた抹茶色だったのですが、明るい雰囲気になった方がよいかなと思いまして。私が寸法を測って、それをもとに郵送で手作りで作ってもらいましたが、私の設計図が間違っていて、かれこれ5回ぐらいやり取りをしてようやく完成です。作っていただいた方には感謝です。

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さて、明るい色とはいえ、なぜ緑を採用したかというと、診察室を自然のイメージにしたかったからです。実はホームページのロゴも、木にしています。私はそんなにアウトドア派でもないのですが、自然、特に木や植物が好きなんです。診察室には青い空気清浄機も置いています。木があって、空がある、そんなふうなイメージで選びました。

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診察室の植物です。職員が買ってきてくれました。

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診察室の植物、ベンジャミンです。本当は丸く育ってほしいのですが、寝起きの髪のようになってしまっています。剪定の仕方がわかりません。それから、青の空気清浄機です。一応空のイメージということで・・・

・・・とこんな工夫はしていますが、診察室はパソコンとか、私の書類とかであんまり自然とは言えませんね・・・木漏れ日のある森の中で診察したらどうなるんでしょう。落ち着くかな。

私は小さいころから何となく自然が好きだったように思います。大きな木は人間よりずっと長い時間生きてきて、色々なものを養い支えてきた、反面、それだけで存在感のある老賢者のような、そんな姿に魅かれていたのかもしれません。平和な感じでもありますしね。

ところが、そんな小さいころからの自然観をひっくり返すような経験をしたことがあります。大学卒業が近づいて進路に迷っていた時のことです。自然のありようを見て自分の進路を考えようと屋久島に行きました。

もしかすると自然のありようを見て自分の進路を考えようというよりは、自然ならきっと争いもなく悠然と生きるように示してくれるはずと、そんな答えを求めていたのかもしれません。

屋久島はとても良いところで、色々な思い出を作ってくれました。それはそれとして、屋久島で初めて、ガジュマルという木があるのを知りました。ガジュマルは、他の木に寄生?して、その木を枯らしてしまうのです。締め殺しの木とも言われています。

それを見てびっくりしました。植物は平和主義だと思っていたのに、他の植物を殺してしまうようなものもあるのだと。

ただただ平穏なだけが自然なのではなくて、生き残りをかけた戦いもあったのです。

結局私は過酷な世界に進むことを選びませんでしたが、自然のあの姿を見て、人間というのもまた、本質はただただ善なるものでもなく、清濁混沌としたものなんだろうと思うようになりました。そこに苦しさや辛さもありますが、一方でそれだからこそ、幸せや喜びもどこかにあるのだと思います。

人生とはなんなのでしょうね。そんなこともよく考えますが、目の前のことも頑張ります!休みやすみ行きましょう。

 

 

本の紹介: マンガでわかる アンガーコントロールガイド

今日も本の紹介です。

「マンガでわかる アンガーコントロールガイド」清水栄司著。

 怒りのない人はいないですよね。一方で、怒りとどう付き合うか。なかなか難しいものです。

本書はその怒りとの付き合い方をわかりやすく紹介しています。認知行動療法という実証済みのカウンセリングの方法に基づいているので安心して読むことができます。

当院にはもう一冊、アンガー(怒り)マネジメントの本があるのですが、そちらは若干殺風景な体裁で、とっつきづらいかなと思っていました。それで、ブログでも紹介はしていませんでした。

そんな時に、本書を見つけて読んでみるととても分かりやすい!文字の説明もあるのですが、マンガと文字がサンドイッチになって進むのですいすい読めました。患者さんが来ない時間にパラパラと読んでいましたが、すぐに読み終えました。

 

マンガでわかるアンガーコントロールガイド
 

  会社での場面、人付き合いでの場面、家での場面がマンガで紹介されています。会社での場面が多いのですが、他の場面にも応用可能なので心配ご無用。

怒るのを5秒待ってみよう、など実際でできる方法もいろいろ紹介されています。

読んでいると読みやすいのでわかった気持ちになりますが、何度も読んだほうが良いと思います。失敗したなと思ったら、その都度開いて読んでみるのも一手でしょう。

この本を読んだうえで、当院にあるアンガマネジメントのワークブックをやったらよりよいのかも・・・またいずれその本もご紹介しますね。

 

 

本の紹介: うつ病九段 漫画版

先日、『うつ病九段』を紹介しました。大変面白いのですが、文字だけなのでとっつきにくい方もいらっしゃるかもしれません。

漫画版が出ているということで早速見てみることにしました。

結論から言うと、文字の本をそっくり再現していて、絵なので読みやすい!気軽に読みたい方はこちらの方がよいかもしれません。患者さんのご家族にも特にお勧めです。患者さんの言っていたことがこういうことなのか、と理解できるかもしれません。

ただ、この本の著者は入院までされたということで、うつ病の中でも重い例として読んでください。うつ病の患者さんでも軽い方から重い方まで様々です。必ず同じようになるわけではありませんので、参考までに。

 

うつ病九段 (文春e-book)

うつ病九段 (文春e-book)

 

 

本の紹介: うつ病九段

クリニックの本棚にある本の紹介です。「うつ病九段」先崎学

プロ棋士うつ病になり、そこから回復していくご本人の体験談です。かなり思いうつ病になり、入院、退院、徐々に元気になっていく様子が描かれていますが、非常に読みやすいです。うつ病の経過も典型的で参考になります。

慶応大学に入院されたということですが、病棟の様子もわかって、慶応大学って過ごしやすそうな病棟だな・・・と想像してしまいました。お兄さんが精神科医ということで、それもご本人の支えになったのでしょう。

著者の心情が赤裸々に語られているのもリアリティが増して、また親近感がわきました。

読みやすいとはいえ、今うつ病でしんどい方にとってはなかなかの長さだと思います。ご家族が読んで、うつ病というのはこういう様子なんだとわかっていただくのが良いように思います。そういう意味ではとてもお勧めです。

漫画も出ているようなので、そちらも購入して本棚に置こうと思っています。