今回は本の紹介です。
「私のリカバリーストーリー3」です。
就労支援の方法の一つにIPS(Individual:個人個人に合わせた Placement: 場所の Support: サポート)=個別就労支援プログラムというものがあります。個別に希望や能力を聞きながら、仕事を探しサポートするというものです。
援助付き雇用/個別就労支援プログラム | 就労 | こころとくらし by 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域精神保健・法制度研究部
この本はIPSを用いて就労を目指した方や、支援した方の感想が書かれています。生の声が掲載されているので、就労どうしようかなと考えている方や支援者にぜひ読んでいただきたい本です。
就労支援とはなっていますが、IPSの単語をよく見ると、どこにも仕事という単語が入っておらず、代わりにPlacement=配置、という言葉が入っています。
本書でもちらっと書かれている方がいましたが、究極的には本人がどういう生き方をしたいのかというのが重要であって、それが就労であればサポートする、別の方向性であればその方向を支援する、という意味合いなんだろうなと思います。
就労については、診療をしているととても迷うことがあります。仕事(家事やボランティアも含む)をするということは人に役に立っている感じがしたり、時に社会と接点をもつような感じがしたりして心の面でよい役割があるように思います。収入が増えることもあるでしょう。しかし、仕事がなかなかできない、したくないという方もいます。それは一つの生き方でもあると思います。一方で日本の憲法では勤労は国民の義務とも書いています。勤労といえば会社勤めみたいなイメージがありますが、家事もボランティアも勤労ですし、もっと広い意味で勤労をとらえたらよいのかなとも思います。それから他の文化を見て見ると、勤労が義務と憲法で書いている国はそんなに多くないようです。そうすると人として仕事をするということがどこまで義務なのか。でもそうは言えども日本に住んでいるしなあ、と考えが堂々巡りしてしまって悩むところです。
話が外れましたが、IPSというのは具体的にどんなものなのかというのは本書ではわかりません。このシリーズの別の本に記載されています。以前読んだのですがまだご紹介していないですね。私も記憶が薄れてきたので、また読んでご紹介しようと思います。