こころの診療所 から

宝塚市大橋クリニックの院長ブログです

知人の新規開業したクリニックに見学に行きました

先日、知人が開業したということでクリニックの見学に伺いました。

新規開業ということで、とってもきれいで、広かったです。児童・思春期の精神科の先生なので、お子さんが遊べるスペースがあるなど、空間がうらやましかったです・・・

やっぱり環境は重要ですね。当院の環境も手を付けられるところから変えていきたいです。診察室のレイアウトや雰囲気は少し変えてみました。木や自然を基調にしたつもりではありますが・・・

 

人間には五感がありますね。見る、聞く、味わう、嗅ぐ、触る。それぞれについて工夫ができたらいいなと思います。これは、実は自分の人生についても大事かもしれません。人生大変なことは多いですが、そんな中でも見ること、聞くこと、味わうこと、嗅ぐこと、触ることの中で少しでも心地よさを感じる瞬間があれば、もしかすると大変さを和らげてくれるヒントが見つかるかもしれません。

 

当院のスペースはすごく広いというわけではありませんが、私の中では地域自体を仕事場スペースとして考えていきたいと思っています。家、地域の資源、店、いろいろな場所を有効に活用していけたらよいですね。他をうらやましいと言っているばかりではなく、しっかり工夫をする。それが当院の目標です。

8月からは電子カルテシステムを新しくします。

10月からは公認心理士の資格を持った精神保健福祉士に来てもらう予定です。幅広くお役に立つことを目指しています。

精神保健福祉士という資格も耳慣れない方もいるかもしれません。また改めてご説明・ご紹介しようと思います。

 

オキシトシンの話を聞いてきました(研究段階のお話)

昨日は阪神精神科医会学術講演会の座長をしてきました。座長といっても、お話をほんの少しまとめるだけの役ですが・・・

浜松医科大学の山末先生が、オキシトシン自閉症スペクトラム障害のお話をして下りましたが、非常に勉強になりました。オキシトシンによりアイコンタクトや表情の認識の仕方が変わるということ。しかし、一方で何回もオキシトシンを投与するとその効果がなくなってしまうという現状の研究のお話です。

私自身は社会性というのは学習、特に文化の影響を受けるものと考えていましたが、物質でこのような社会性が変化するということは、社会性とはそもそも体に組み込まれたものと考えても良いのかもしれません。まだその考え方には違和感がありますが、山末先生はそのようにお考えでした。なかなか衝撃的です!

遺伝子レベルから、脳の画像レベル、心理課題を使った行動レベルの研究を綿密に積み重ねていらっしゃり、研究の醍醐味をみた気持ちでした。

オキシトシンは今後非常に面白い物質のように思えました。しかし、まだ治験を経ていないので、我々の臨床にとどくまでには時間がかかりそうです。世の中には、そのようなもどかしさを逆手にとって、効果が確定していないものを販売する危険な業者もいますから、くれぐれもそのような業者には引っかからないようにしてください。

 

本の紹介: あなたがあなたであるために 自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド

本の紹介です。

「あなたがあなたであるために 自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド」吉田友子著

 

先日ご紹介した本(『高機能自閉症アスペルガー症候群 「その子らしさ」を生かす子育て 改訂版』)がよかったので、同じ著者の本を読んでみることにしました。今回の本は、ご本人に向けた本です。

先日の本はちょっと量が多かったのですが、今回の本は程よい量で障害の特徴や工夫にフォーカスしています。それぞれの説明は簡潔ですし、日常で困る場面の対処は具体的です。

例えば、趣味に関する5つのトラブルとして、1.「いつもその話ばっかり」とうんざりされる、2.「そろそろ止めなくちゃ」と分かっているんだけど止められない、3.趣味にばかり時間をとられて宿題が終わらない、4.趣味にお金を使いすぎる、5.「自分の世界にこもっていないで」「もっと友達を作りなさい」と言われてしまう、自分でも迷う。

というトピックを取り上げて、どうしたらよいか、どう考えたらよいか詳しく説明してくれています。思い当たるところがあったら、参考になる意見が乗っているかもしれません。

 

良いのはやっぱり、読みやすさですね。本の厚さも薄いですし、文字もまずまず大きいです。ご本人向けの本ですが、周りの方も読んでみて、よかったらさらに詳しい先日ご紹介した本を読むというのもよいでしょう。

 

この著者の他のもう一冊の本も購入したのでまた読んでみようと思っています。

 

あなたがあなたであるために―自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド

あなたがあなたであるために―自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド

 

 

 

 

 

スマートフォンで認知行動療法を行う関連研究の論文が出版されました

数年前に、スマートフォン認知行動療法をほぼ自動で行うアプリ開発・研究のお手伝いをしていました。

http://ebmh.med.kyoto-u.ac.jp/flatt/committee.html

認知行動療法というのはカウンセリングの方法の一つです。認知=考え方の幅を広げたり、バランスをとる方法、行動=心地よい活動を増やしたり、現実的な問題解決を計画するという方法、という大きな二つの方法で気持ちの改善を図っていきます。

ぱっと聞くと常識的で、カウンセリングといえるほどのもの?と思われる方もいるかもしれません。しかし、案外、ご自身の考え方にどんな癖があって、それがいつごろから作られたものかなど考えていくなどは、機会をもって見つめないとなかなか気づけないことが多いものです。行動も普段避けていることも、段階にわけて実行してみると意外な発見があることもあります。

 

ちなみに、スマートフォンアプリの研究の結果は大変良いものでした。

http://ebmh.med.kyoto-u.ac.jp/flatt/index.html

 認知行動療法を日常的に実施できる医療機関は少ないので、こういったアプリを使って診療の補助とする方向性は重要だと思います。今後、保険適用されたら多くの方のお役に立ちそうです。

 

この研究のデータを使って小さな研究をしていましたが、その私の研究が論文として出版されました。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/pcn.12849?af=R

 

医者として知識や技術を患者さんや社会に届けることも重要な役割と考えていますが、新しい発見や知識を世の中に示していくことも体力と精神力が続く限り継続していこうと思っています。

 

本の紹介: 高機能自閉症・アスペルガー症候群 「その子らしさ」を生かす子育て 改訂版

クリニックの本棚の本の紹介です。名著です!
高機能自閉症アスペルガー症候群 「その子らしさ」を生かす子育て 改訂版』 吉田 友子著

 

当院は児童思春期が専門なわけではないですが、この本は非常に勉強になりました。内容は素晴らしく、イギリスでも翻訳版が出版されているということです。国外の本を翻訳して日本に輸入ということはよくありますが、日本国内の専門書が海外で翻訳されるということはあまり聞きません。国を超えて、多くの方が価値を認めている本といえるでしょう。

 

自閉症スペクトラム障害高機能自閉症アスペルガー症候群、広汎性発達障害など色々な言葉がありますが、要するに何が特徴なのかということを具体例を豊富に交えながら説明してくれます。

本書の素晴らしいところは、著者の実践が活かされていて、どう対処したらよいか、どう子育てをしていったらよいのか、アドバイスが明確に示されていることです。

約3分の1がどんな特徴があるのか、もう3分の1がどう子育てをしていくか、残りが、Q&Aで構成されています。200ページほどの本で、書いている文章は決して難しくはないのですが、内容が非常に濃いので、読み終えるのに一苦労します。

何度も読む必要があるし、その価値がある本だと思います。迷った時に読み返すとそのたびに発見があるでしょう。

この著者の本は他にも色々あるようですので、これから読んでみようと思っています。

 

身近な人、支援者の方にぜひおすすめです。読むのは大変かもしれません。するめのようにじっくりと何度も味わっていただくとよいように思います。幼稚園や小学校にもぜひともおいてほしいですね。

(医療者向け:医療者としては、診断やこれからのヒントを得るために、幼少期のお話を詳しく聞くことが重要だとあらためて思いました。児童思春期を専門にしていなくてもPARS-TRやADOS-2のようなツールを使っていく時間を確保することが今後の課題でしょう。ADOS-2のようなツールにも保険点数がつくとよいですが。)

 

 

高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て 改訂版

高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て 改訂版

 

 

本の紹介: 人見知りが治るノート

当院の本棚の本の紹介です。今回は

「人見知りが治るノート」反田 克彦 著を紹介します。

 

人の注目を浴びる場面で、人から否定的な評価を受けることを極端に心配してしまって、日常生活に支障をきたしてしまう方がいます。

人から否定的な評価を受けるのではという不安が強いことは、逆に言うと評価されたいという願望の裏返してもあります。そういう不安を感じるからこそ、工夫をしたり努力をする力の元にもなるので、一概に不安が悪いというわけではありませんが、あまりに不安が強すぎて日常生活に支障をきたしてしまうのはご本人も辛いでしょう。

薬物の治療もあるのですが、やはり実際の場面でどうやって対処していけばよいかというヒントも欲しいというのが患者さんの希望でしょう。そんな時に、この本など良いかもしれません。

今年に入ってあるカウンセラーさんに紹介してもらった本で、読んでみるととてもよくまとまっています。著者の独断のようなところもごくごくわずかにありますが、本書の良さに比べるとそんなところは無視できる程度です。

どんな仕組みで不安に感じるのかが詳しく紹介されて、それから具体的な対策が示されます。注意コントロール、リラクゼーション、考え方のバランスをとる方法、行動の練習がコンパクトに紹介されています。

文字も大き目で読みやすいです。具体例も色々あり、参考になることがあるのではないでしょうか。認知行動療法ベースの本です。

 

人とのかかわりで不安を感じすぎてしまう方には、森田療法関係の本も面白いかもしれません。これとは別に、ちょっと以前にビジネス書の中に人前での発表の本でよさそうな本があったのですが、タイトルチェックせずに流してしまいました!また見つけてみようと思います。

 

 

人見知りが治るノート

人見知りが治るノート

 

 

 

とある精神科病院に見学に行きました、そうして刺激をうけて・・・

これまで色々な精神科病院を見てきました。

常勤で勤務していた時もありますし、定期的に当直、不定期で当直、ヘルプで当直などもしてきました。そうすると、良くも悪くもそれぞれの精神科病院が良く見えるのです。

しかし、開業してから精神科病院での当直をすることがなくなってきたので、自分から見に行かなければ精神科病院を見る機会がありません。

特に状態が悪い患者さんの入院をお願いする入院先の様子もしっかり見ておく必要があります。

そんなわけで先日とある精神科病院の見学に行きました。直接・間接的にお世話になってきた病院で、私のかつての上司も一時勤務されていました。

 

一般の病棟もきれいだったのですが、リワーク病棟がホテルのようにきれいでした。病室などなども拝見しました。これだけきれいなところであれば、ゆっくりと休むことができるだろうなと思います。そもそもhospital(病院)はhospitality(おもてなし)、hotel(ホテル)という言葉と語源が同じです。当院は病院のように大きくはありませんが、患者さんの気持ちを少しでも和らげる環境というものも考えていかなくてはならないと思いました。私も病院を受診する時は緊張しますから、当院に来られる方も来るだけで緊張されるのではと思います。

そんなわけで、診察室のレイアウトを変えてみました。これから電子カルテの入れ替えもあり、パソコンを増やすために机も増やさなければならないと事情もありましたが・・・待合室にも空気清浄機を設置しました。

 

診察待ちの時間を有意義にできるように、色々な精神科セルフヘルプの本も置いてありますが、気軽に読めるものも考えなければいけませんね。音楽も・・・五感を和らげるクリニックとなるように、まだまだ改善の余地はたくさんです・・・