こころの診療所 から

宝塚市大橋クリニックの院長ブログです

本の紹介: 認知症と診断されたあなたへ

クリニックの本棚にある本の紹介です。

認知症と診断されたあなたへ 小澤勲、黒川由紀子編著

 

認知症の方の家族に向けた本や介護の本は色々とありますが、診断されたご本人への本はなかなかありません。本書は2005年に出版された本で、少し古いですが、認知症と診断された方が心配に思うだろうという点をたくさん書いてくれています。

本の構成は、認知症と診断された方からの疑問や心配に答える形で構成されています。

例えば「食事について、気をつけたほうがよいことはありますか?」とか「家族や周囲のお荷物にはなりたくないのですが…。」という問いに対して、著者が大体1,2ページで答えるという形式です。

取り上げられた疑問を見ていると、こういうことは心配になるだろうなと思うものばかりです。そういう意味では、認知症と診断された人以外が読んでみて、認知症の方を理解しようとするご家族や医療者にもとても役立つ本だと思います。

答えは温かみがあるのですが、頭が良い方が書いているのでちょっと難しく感じるところもあります。文章の中には、他の推薦図書も含まれています。絶版になっているものもありますが、興味があれば、探してみると参考になることがあるかもしれません。

著者はベテランの精神科医です。執筆当時末期の肺がんになられていました。そのような状況で書かれていることを想像すると、患者さんへの思いが伝わってくるようです。小澤勲先生はもうなくなられていますが、この他にも認知症の本を書かれています。難しい本もありますが、医療者には勉強になると思います。

 

認知症と診断されたあなたへ

認知症と診断されたあなたへ

 

 

 

 

訪問看護ステーションの方々とのミーティング

先日、とある訪問看護ステーションの方々と受け持ちの患者さんについて、一区切りの振り返りミーティングを行いました。

これまでは、難しい事例について、訪看含め、色々な関係機関で集まって話し合うという会は時々ありました。

しかし、今回は現状の問題に対してではなくて、振り返りという形でお互いに話をしてみようということを行いました。

こういったことをやろうと思った理由は、まず第一に、その訪問看護ステーションの方が日々非常に丁寧に対応してくださっており、ぜひさらにつながりを強く持ちたいと思ったからです。困っていること、疑問に思われていることをお互いに共有することで、精神科訪問看護をさらに長く続けていただきたいと思いました。私自身もよりよく協働できるように色々伺いたかったこともあります。第二は、当院のようなクリニックがあるということを知っていただき、何かあればお役に立てたらと思ったからです。

30分弱でしたが、お菓子を食べながら、色々なお話ができたと思います。実り多いひと時でした。このような機会が増えたらとても嬉しいことです。

精神科の訪問看護の役割ということも、看護師さんとともに今後深めていきたいです。

睡眠時無呼吸症候群について 2019/4/11の情報

睡眠時無呼吸症候群について、信頼できる医学雑誌で記事になっていたのでダイジェストでご紹介します。

Solomon G. Obstfuctive sleep apnea in adults. New England Journal of Medicine 380; 15: 1442-1449.

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcp1816152?query=BUL

 

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている時に気道が時々閉じてしまって呼吸が少なくなったり、一時的になくなって、低酸素状態になり、場合によっては起きてしまうという状態です。

米国では30歳から49歳の女性の3%、男性の10%、50歳から70歳の女性の9%、男性の17%に生じていると推測されています。

BMI(体重÷身長÷身長)が30以上の方では40%以上、メタボリック症候群の方の60%以上が睡眠時無呼吸だったという報告もあります。

 

睡眠時無呼吸と心血管疾患のリスクには関連があります。1時間で11回を超える無呼吸があると、1時間で1.4回の無呼吸の人と比べて高血圧、脳卒中、心血管疾患が多かったということです。

 

睡眠時無呼吸の検査には、外来でできる簡易検査と1泊入院で行う詳細検査があります。

 

CPAPという睡眠時無呼吸の治療によって、健康感じや活力、疲労感や日中の眠気が治療を受けない人に比べて改善するという研究があります。しかし、心血管疾患を改善するかどうかはまだ不明確です。ある研究ではCPAPで改善は認めなかったというものもあります。

 

以下は私の感想です。

不眠の方の中には、夜中のいびきが強いとか、息が止まっているということをおっしゃったり、日中の眠気がすごいという方がいます。長く寝ているのにすっきりしないとか、疲労感がたまる、夜中にトイレで起きる、起きたら口が渇いている、朝に頭痛がするなどという方もいます。

特に体重が多い方は一度チェックもよいかもしれません。体重が少なくてもなかなか改善しないようなら睡眠時無呼吸についてクリニックで相談するのもよいでしょう。

 

 

 

 

 

本の紹介: 自分の気持ちをきちんと<伝える>技術

クリニックの本棚にある本の紹介です。

「自分の気持ちをきちんと<伝える>技術」平木典子著

 

先日、アサーション=自分の気持ちを攻撃的ではなくしっかり伝える方法、の漫画をご紹介しました。

この本は同じ著者が書いたもので、文字と絵がメインの本です。見開き1ページに絵と文が半々なのでとても読みやすいです。また、先日ご紹介した漫画と違って、物語が省かれているので、アサーションに集中してより詳しい内容を知ることができます。

内容もとても整理されていて、一つ一つの見開きごとにわかりやすいポイントが示されています。ポイントを読むだけでも、あー確かにそうかもと目からうろこが落ちることが結構あるかもしれません。いくつかご紹介しましょう。

「誤解やズレは当たり前と考える」
「すべてを伝えることはできない」
「皆、自分なりの見方や感じ方で世界をとらえている」
「神ならぬ人間は完ぺきではありえないので、失敗はしてもいい。」
「人を傷つけないにこしたことはないけれども、傷つけることもあり得ると覚悟する」
「自分を知らせないで人と仲よくなったりすることはない」
アサーションするもしないも、自分の責任で選べばよい」

 

コミュニケーションに悩んだ時には繰り返しこの本を開いてみると、その都度発見があるかもしれません。お勧めです。

 

図解 自分の気持ちをきちんと「伝える」技術―人間関係がラクになる自己カウンセリングのすすめ

図解 自分の気持ちをきちんと「伝える」技術―人間関係がラクになる自己カウンセリングのすすめ

 

 

 

本の紹介: マンガでやさしくわかるアサーション

クリニックの本棚にある本を紹介します。

「マンガでやさしくわかるアサーション」平木典子著

 

どうやって自分の気持ちを伝えたらよいか、難しい時がありますよね。

相手に心地よいことならまだ話しやすいですが、自分がやられて嫌なことをあまり角が立たないように伝えるにはどうしたらよいでしょうか?

そんなことが、漫画でわかりやすく紹介されています。自分の気持ちを言えないキャビンアテンダントさんが、どうやって自分の気持ちをしっかり伝えることができるようになるのか・・・ストーリも軽く読めて楽しいです。

 

良いコミュニケーションの方法、名付けて「アサーション」。

自分の要求を攻撃的に伝えるのも行きすぎですが、自分の気持ちを伝えないのも引っ込みすぎです。

この両者の中間を目指すのが「アサーション」という方法です。方法も体系化されていて、DESC法と名前が付けられています。マンガの中でこの方法も紹介されています。

 

私は学生時代に友達が人に上手に話しているのをみて、自分が情けなくなったことがあります。その時に、自己主張トレーニングという本を読みましたが、それがまさしくアサーションの本でした。それにはDESC法のような方法は示されていませんでしたが、しっかり言うことは言わないとならないんだなと思ったのを記憶しています。ちなみに、私の下宿に友達が来て、その本を発見されてしまい、彼に会うたびに、自己主張トレーニングだもなと笑いながら言われました。彼は弁護士になりました。私は紆余曲折で精神科医になりましたが、伝えるだけではなくて、聞く技術もますます磨かねばと日々考えております。

 

話が横道にそれましたが、アサーションって何だろうということを気楽に読むにはとても良い本だと思います。もう少ししっかり知りたいなと思う方は、同じ著者の「自分の気持ちをきちんと<伝える>技術」がとてもお勧めです。これもまたいずれご紹介しようと思います。

 

マンガでやさしくわかるアサーション

マンガでやさしくわかるアサーション

 

 

 

 

 

 

本の紹介: 私ってADHD脳!?

当院の本棚にある本の紹介です。

「私ってADHD脳!?」 司馬理英子

 

最近私自身が文字を読むのが辛くなってきたので、漫画で参考になる本がないか探していました。特にADHDの特徴がある方は(私も含めて)集中が続かないこともあるので、気楽に読む本があればいいなと。

そんな時に見つけたのが本書です。ADHDの治療には薬剤もあるのですが、生活の工夫がやはり重要です。この本には37のコツが漫画で紹介されています。しかも、役に立ちそうなコツが満載です。

漫画のストーリーはベタな恋愛漫画みたいな感じですが、それがまた気楽によめて楽しいです。価格も1300円。良いと思います!あとは実践!

 

仕事&生活の「困った! 」がなくなる  マンガでわかる 私って、ADHD脳!?

仕事&生活の「困った! 」がなくなる マンガでわかる 私って、ADHD脳!?

 

 

本の紹介:感情の「みかた」 

少しずつ当院の待合に置いてある本など紹介していこうと思います。本日は、

感情の「みかた」~つらい感情もあなたの「味方」になります

を紹介します。

 

著者は国立精神・神経センターの認知行動療法センターのセンター長をされている先生です。私自身も研究でご一緒させていただいたり、カウンセリングのスーパービジョンを受けたことがあり、尊敬している先生です。

ユーモアにあふれて、あたたかい先生で、身近で指導を受けることができる方はうらやましいなと思っています。

さて、本の内容です。どんな方にもとても参考になることでしょう。

 

誰しも感情は持っています。悲しみ、落ち込み、怒り、不安などは一見ネガティブに見えてしまいます。しかし、このネガティブな感情にも、実は大切な役割があるのだよ、こうやって付き合ったらよいよ、ということを優しい口調で説明してくれます。

 

悲しみの中にあり、誰もわかってくれないとつらい気持ちをしている方。

何かを失い、失意の中にある方。

怒りのコントロールに悩んでいる方。

などなど色々な感情の意味と対処について、ご自身のエピソードも交えながら紹介してくれます。

読んでいると、希望が見えてくるような気持ちになるのは堀越先生の人間性が文章に現れているからかもしれません。

ちょっと一節を抜粋します

”私たちはどんなに長い時間をかけても、喪失の体験そのものを忘れることはないのです。こころの傷が痛まなくなっても、思い出は一生残ります。けれども、幸いにも私たちはそのつらく悲しい思い出を違う形で覚え直すことができます。悲しかった思い出を抱えていながら、その傷は痛まないという状態でいきていくことができるのです。”

 

感情の「みかた」 ?つらい感情も、あなたの「味方」になります。

感情の「みかた」 ?つらい感情も、あなたの「味方」になります。