こころの診療所 から

宝塚市大橋クリニックの院長ブログです

本の紹介「グッド・ライフ」

「グッド・ライフ」という本の紹介です。アメリカはやっぱりすごい。ハーバードでは同一家族、二世代にわたって、八十年以上、人を追跡した調査があります。こんなに長い間追跡するなんて、相当にすごいですよね。この本はその調査をメインに、良い人生を送るには何が大切かを紹介した本です。

 

 

 実はこのハーバードの調査に関する本はこれまでも何冊か出版されてきました。私はこの前の本を読んだ時に、いたく感動してぜひ翻訳したいといくつかの出版社に掛け合ったのですが、実現できませんでした。しかし、今回別の著者が書いたものが翻訳されていることを知りました。それがこの「グッド・ライフ」です。ですので、私にとっては、ちょっと悔しいような、でも読みたいような、そんな気持ちでした。

 これまでこの調査を扱った本と今回の本の違いは、他の似たような調査結果も含みながら考察しているところです。人を長く追跡した調査はハーバードのこの調査ばかりではありません。世界にはいくつかの有名な長期追跡研究があります。一つの研究で、○○じゃないかと想像されたことが、他の研究でも結果が一致していれば、かなり信ぴょう性が高くなりますよね。本書はそうやって、できるだけ科学的に論じようとしています。

 その結果、本書は、幸せと健康と長生きに関係しているものは、良い人間関係だと、結論しています。ではよい人間関係を持つにはどうしたらよいか?それがいろいろな面から説明されています。人との関わりを持つこと、人に注意や気配りを向けること(携帯を離れて!)、相手の気持ちを理解しようと努力すること、問題から目を背けない事などなどが紹介されていました。

 そうか、人間関係が大事なんだと思ったときに、どこか他の本に、死ぬ前によく後悔されることが人間関係ということが書いてあったように思い出しました。たしか、緩和ケアか何かの本だったような。確か、柳田邦男の『「死の医学」への序章』か、『「死の医学」への日記』だったような、と思ってページをめくってみましたが、それらしきことが見当たりませんでした。どこかで見たような。

 それはさておき、やっぱり人と人との関係が大事だなと振り返りました。

 分厚い本ですが、面白かったです。でも、私が翻訳したい本も面白いんだけどな・・・と諦めきれずです。