こころの診療所 から

宝塚市大橋クリニックの院長ブログです

lemon treeのランチを食べてきました

先日見学にうかがった、レモンツリーという地域活動支援センターにカレーライスを食べに行ってきました。

やっぱり、雰囲気がいい!通りから店に入ると、空気が違います。

ゆったりとした木の温かみ、なんだか落ち着きます。

 

そう、この日はどうもカレーが食べたくなって、来てしまいました。
おいしいカレーでしたよ。本格的な感じがします。手が込んでいる感じがします。書いていて思い出して、つばがでてきました。そういう感じです。当たりが良かったのか肉も多かったです。

サフランライスか普通のライスをえらべるというのもなかなかいいです。

なにせ嬉しいのは、この雰囲気、この味で500円しないんです!

いやーおいしかった。今度は大盛にしようかな(できるのかな?)

 

札幌で講演をしてきました

1月26日に札幌で講演をしてきました。
ステマティックレビュー&メタアナリシスという研究方法について医師の方々にご紹介するのが目的です。

世の中にはたくさんの研究があります。皆様も新聞記事やテレビでセンセーショナルなニュースを見ることがあると思います。しかし、そういったニュースは全研究のごくごくごく一部です。同じ話題の研究でも互いに矛盾した結果だったりすることさえあります。

ステマティックレビュー&メタアナリシスという研究は、世の中の研究をすべて集めてきて、全部まとめると結局どうなの?という結論を示す研究です。

わかりやすく直感的に言えば、近所の人は○○と言っていた、テレビでは△△と言っていた、雑誌では□□と言っていた、とすると、全部総合したら正解はどうなるか?と結論を出すような研究です。

やることは簡単そうなのですが、実際には、どうやって世界の研究を集めるのか、どんな研究を集めるのか、どんな結果に注目して総合するのかなど考える点は色々あって、さらにたくさんの研究に目を通すのでなかなか仕事がたくさんです。

日本ではこの方法をしっかり勉強して実施している方もそう多くはなく、私のようなものにも需要があるのです。私は北海道の出身ですので、北海道にも貢献したいと思って今回の企画となりました。

この1年ほどをかけて、いくつかのシステマティックレビュー&メタアナリシスの論文が参加メンバーから出せるようにご協力していくことになりました。センセーショナルなニュースに惑わされずに、しっかり今一番真実に近いことを世の中に提示していくことにこれからも貢献していくつもりです。

 

昨年の心療内科学会シンポジウムの報告

昨年(2018年)12月24日に北海道で心療内科学会があり、シンポジストとして呼ばれて発表してきました。「在宅医療における心療内科的課題」という話題で、メンバーは神経内科の先生、訪問を積極的にされてきた看護師さん、ケースワーカーの方と私でした。皆さんとても偉い方で、かなり恐縮してしまいました。

私は精神科の訪問診療についてご紹介したのですが、他の方の発表をうかがっていると、なんだか内科の先生とも、看護師さんともケースワーカーさんとも、姿勢は共通しているような感じで、困ったときの話も表現は違えども、同じことを言っているような感じがしました。精神科医として呼ばれましたが、なにか目新しいものを提供できたかというとそうでもなかったかもしれません・・・

患者さんを理解しようとしながら、自分や一緒に働く人もお互いに影響を受けながら進んでいること、解決できない問題とじっと付き合いながら一緒に耐えていくこと、そんなことが共通した姿勢だったように思います。

今回の学会では人のご縁も感じました。学生時代から私は地域で医療をしたいと思っていました。当時は内科にしようか精神科医になろうか迷っていました。大学には地域医療の教室もあり、そこの教授の先生が朝、僕らの勉強に付き合ってくれて、診察の仕方などを教えてくださいました。その先生は今は退官されて、北海道で地域医療をされているのですが、今回の学会長がその先生で、声をかけてくださいました。

学生時代に往診を見てみたいとその先生に相談したところ紹介してくれた医院がありました。今回のシンポジストはその医院の先生でした。

あれから時間がたち、私も当時思っていたような医療に携わるようになりました。

今回のシンポジウムで当時の教授や、見学先の方と接点を持ちました。なんだか感慨深いものがあった一日でした。

あとは、今回の発表を論文にまとめなければならないのが・・・ありますが・・・頑張ります。

仕事はじめ、待合室の本を増やしました

本日は仕事はじめでした。

休み中に自宅にあった本をクリニックに持ってきておいたので、待合室の本に加えました。

診察室以外で患者さんが過ごす時間は、診察室で私が患者さんと会う時間より、はるかに長い時間です。この時間も治療に生かすにはどうしたらよいでしょうか?

認知行動療法というカウンセリングの技術では、必ず面談と面談の間にホームワークと言って、生活の中で患者さんにやっていただくことを話し合います。
しかし、現状の短い診察時間では丁寧なホームワークを設定することが難しいことも多く、不十分になりがちです。せめて、患者さんに参考になる本を診察室において、興味のある方にはぜひ参考になるようにと、待合室の本を充実させています。

これらの本は、私が医師になって患者さんの役に立つような本がないか探してきたものです。残念なことにとても良い本なのに絶版になってしまっている本もあります。患者さんに購入して自分のために読んでほしいという意図で待合室においているので、絶版の本はどうしようか悩みましたが、良いと思うのでとにかくおいておくことにしています。

セルフヘルプ本は読んでいただいて、実際に書き込んだりして、診察室で話し合う話題にもできると思います。

どんな方にどんな本を薦めたいかもわかるように工夫できたらと思っています。

治療の場所は、クリニックの中だけではありません。どうやって日常で工夫するか、本もとても参考になると思います。ご自身の工夫で障害を乗り越えてきた方は、私の技術など到底及ばない、素晴らしい自身の治療者です。私も患者さんから勉強させていただきながら、それをまた他の患者さんにお伝えしていきたいと思っています。

症状が良くなった患者さんには、「症状を良くするのに何が良かったのでしょうか?」とよく質問します。これは、症状を良くする患者さんの技をお互いにはっきり覚えておきたいという意図があります。一緒に工夫を見つけていきましょう。

本の話題から少しずれましたかね?

 

 

2018年を振り返って、2019年の目標

当院の仕事納めは12月28日でした。11月に大橋先生より継承開業してようやく2か月目で本年の締めくくりとなりました。振り返りと来年の目標を記します。

基本的な姿勢は、

1.自分の家族に受けてほしい医療、私自身が受けたい医療を目標にして診療を行う
2.必要な医療や支援が届いていない方に、訪問診療や他機関との連携を通じて、必要な治療や支援を届けることを目指す

ということです。 

1については標準的な治療を提供して、不明瞭な点は可能な限り現在の研究を勉強するようにしています。継承開業後に新たに導入、工夫し始めた点は、
・睡眠時無呼吸の簡易検査を導入しました。
・待合室に、セルフヘルプ本や疾患についての本を充実させました。
・就労支援や自助会についての手製のパンフを作成しました。

 

・睡眠時無呼吸検査について:

睡眠時無呼吸症候群については、おそらく精神科や心療内科を受診する不眠症患者に少なくない割合でいらっしゃるのではと思っています(これは今後検証していこうと思います)。睡眠時無呼吸症候群の方に、筋肉を緩める作用のある睡眠薬を処方するとかえって、浅眠となったり倦怠感が残る場合や、不眠がなかなか改善しない場合があります。
しかし、睡眠時無呼吸症候群の検査はこれまで私が勤務していたところでは実施しておらず、もっぱら他院へ紹介して検査して頂いておりました。これでは、患者さんに2度手間をとらせてしまうことになります。
早速、当院でも簡易検査の導入をしました。疑わしい方にお勧めしておりますが、睡眠時無呼吸の診断に至る方も多く、導入してよかったと思います。
今後は、睡眠時無呼吸症候群の方を見逃さない、あるいは診断にいたるような、簡便な問診方法を、これまでの研究を調査し、当院でさらに良いものを開発して世界に提案していきたいと思っています。(2019年、2020年目標)

・セルフヘルプ本、資料について

どうしても患者さんには診察まで待っていただくことが出てしまいます。しかし、その間も治療に活用したいと思っています。
心療内科・精神科でなければ得られない情報を、私が実際に読んで役に立ちそうと思ったセルフヘルプ本を待合室に充実させていこうと思っています。自宅にあるものを少しずつ持ち込んでいます。
今後は当院に通院中の方だけではなく、他に困ってい方のお役に立てるよう、ブログ上でも本の紹介をしていければと思います。(2019年目標)

自作の資料も充実させたいと思います。短い診察時間では伝えきれないことも多いので、資料を使いながらお役に立つ情報を提供したいと思います。現在は就労支援、アルコール依存症の自助会の資料を作成しました。来年は、不安についてとか、気分についての資料、就労支援の資料も私が見学した施設の情報も盛り込んでいきたいと思います。(2019年目標)

・その他の目標
心理療法(カウンセリング)も始めたいですが、しっかりとした技術を持った方で当院に来ていただけるカウンセラーを探し始めようと思います。また、私自身もこれまで認知行動療法を軸としたカウンセリングを時間をとっておこなってきたので、当院でもカウンセリング枠を設けて実施をしていきたいです。どのように時間をやりくりしていくかが一番の課題ですが、2019年に考えていきたいと思います。(長期的に考える)

 

2.必要な医療や支援が届いていない方に、訪問診療や他機関との連携を通じて、必要な治療や支援を届けることを目指す、について:

少数の方ですが訪問診療を開始しています。色々な機関の方とつながることで、必要としている方がさらに見えてくるのではと思っています。
訪問診療のその先を考えた場合、生活面に精通する精神保健福祉士の協力が得られればさらに仕事がやりやすくなります。有能な方を引き続き探していこうと思います。現在は、他の機関の方と協力すること、私自身が精神保健福祉士の仕事を実地で勉強していくことを継続していきます。このスタイルを発展させることもありかもしれません。(長期的に考える)

就労支援については、実際に関連の施設に見学にいくことを続けていきます。機関や施設を患者さんに具体的にご紹介できるようにしていきたいと思います。月1ペースぐらいで回ることができたらと思っています。地域の素晴らしい方々に巡り合えてとてもよい試みと感じています。(2019年目標)

 

3.その他

当院での仕事の他、大学での研究、産業医の仕事を持っています。またお役に立つものがあれば、書籍としてまとめたり、翻訳をしていきたいと思っています。

大学での研究との関係では、2つのガイドライン作成に関わり、大学での研究自体も実際の臨床に直接関連する事柄なども含めて幅広く継続しています。2019年には、他院での研究ですが、ひきこもりを経験した方がどのくらい外来受診されているのか、どのような特徴があるのか、その1年後はどのようになっているのかなどをまとめたいと思います。また、うつ病の種類にメランコリー型というものがあるのですが、その型と抗うつ薬の治療効果に関連があるのかどうかを現在論文としてまとめています。その他、色々な研究の手伝いをしているので、主著ではない論文は色々とご報告できると思います。

私にはシステマティックレビュー&メタアナリシスという研究を行う技術があり、日本で正確に行うことができる方はそこまで多くはありません。この技術は、簡単に言うと、これまでだされた研究を網羅的に調べ上げて、その結果を足し算して、最終的な結果を出すという技術です。この技術があるためにガイドライン作成に関わることができています。より多くの方にこの技術を伝えるために2018年には母校の北海道大学で講演を行いました。2019年には、北海道で継続的に講義・演習を行い、参加者が論文を書いて発表できるまでに手伝いをしたいと思います。私は学士編入と言って3年次から北海道大学の医学部に入学しました(編入試験入学の一期生です)。この恩返しを故郷や母校にもしていきたいと思っています。2019年1月下旬に再度訪れる予定です。

産業医の仕事は1つの企業で行っています。クリニック内だけではなくて、実際の企業でも勤務することで、色々な視点を学ぶことができます。継続して関わっていければと思います。どう貢献するか工夫を考えていきたいです。

2018年には1冊翻訳をしました。書籍については一つ企画をしていますが、3年越しで停滞しています。ぜひ形にしたいと思います。医療者に向けた本ですが、まさに今の私にも役に立つ本になると思います。共著の本は1冊進行中です。こちらは2019年には出版されるかなと思います。

恩師のお声がけなどで、2018年は私の経験や技術を他の方にお伝えする機会もありました。ガイドライン作成や心療内科学会でのシンポジスト、また多文化間精神医学学会の2019年総会のプログラム委員として参加することになりました。厚労省認知行動療法研修の関西での講師も今年も行いました。これで3年目です。
これまでの経験を十分に活かしていきたいと思います。しかし、まだまだ力不足も痛感しています。実臨床に生かすべく能力を磨いていきたいと思います。

色々な方のお役に立ちたいと思っています。2019年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

地域活動支援センター Lemon Treeへ行ってきました!

地域活動支援センター Lemon Treeへ行ってきました!(2018年12月18日)

npo-cosmos.com

いつもは一人で行っていたのですが、行きたいという職員がおり、5人で見学に行ってきました。ここもとても当院から近いです。いつも通る道でしたが、気づいていませんでした。

「落ち着く空間」です。地域活動支援センターとは言っていますが、とてもセンスのよいカフェです。全体が木を中心に構成されていて、机、椅子などよい感じの雰囲気です。しばらく滞在して外に出た時には、あ、ここはクリニックの近くだった、と自分がいる場所を忘れるぐらいです。

宝塚市の「バ」Selectionの第二回にも選定されたということなので、やっぱりという感じです。

選定について | モノ・コト・バ宝塚 | 宝塚市シティプロモーションサイトたからづかな生活

内容は所長さんが丁寧に説明して下さいました。
Lemon Treeは居場所というよりは、働くこと、特に接客方面へ進みたい方にはぴったりの場所だと思います。シフトも決まっていたりするので、A型に近い地活というのが良いかもしれません。
10回ほど体験して、それから顧問医の面談を経て、本格的に働くということになるようです。NPO法人の”コスモス”が運営しているので、働くには会員になる必要もあるということ。
カフェではあるので、お客さんとの話など抵抗ない方、それから、かがんだりする姿勢も多いらしく、体力も必要だと思います。
仕事以外では、どこかに遊びに行ったりすることもあるようですよ。この前は大阪の民俗博物館に行かれたとか。

居心地の良いとてもおしゃれな場所なので、働く練習としてはかっこいい場所ですね。
ちょっとレベルは高目かもしれません。

それから、ライブをしたり、ギャラリーとして使うことも可能だそうですよ。

 

いくつか地域活動支援センターに行き始めましたが、それぞれ特徴がありますね。
どのように活用できるか、全体として整理できたら、利用する方にも、センター側にもよいかもしれません。

話題がずれましたが、またランチでも伺おうと思い、スタンプカードをつくって帰ってきました。

 

地域包括支援センター 和み(なごみ)に行ってきました!

地域包括支援センター巡りを細々と続けています。
今回は和み(なごみ)に行ってきました。(11月30日)

townpage.goo.ne.jp


やっぱりいくつか回っているとそれぞれの特徴が良くわかりますね。

 

この和みさんは、就労に注力しているセンターです。清掃や農作業など体を使う仕事を通じて、仕事に慣れていくという場所です。就労支援A型や一般就労を意識しながら活動しているようです。

(ちなみに就労支援A型というのは、最低賃金を保証されながら一般就労を目指す場所です。負担が軽かったり、時間が短いことが多いようです。ただ、しっかり通える方を主に対象にしています)

 

和みさんの良さは、地域活動支援センターでありながら、就労経験ができることです。A型などはやはり、ほとんど休まず通勤できることが必要になりますが、そのしばりが地活ではかなりゆるいため、そのプレッシャーをあまり感じずにいくことができます。

以前訪問した、ひなたさんは、こういう体を使った就労よりもむしろ、就労を意識する場所は内職でしたが、和みさんはもっと外での活動が多いです。

 

H16年ごろから開所しているということですが、所長さんもとてもパワフルでよいかたでした。詳細は個人情報になるのであまりかけないですが、もともとはかなりのスポーツマンだったということです。お話を伺っていて、納得でした。
開所当時は、仕事を探すのが大変だったということですが、現在では仕事ぶりの評判が広まり、色々な所から依頼がくるということです。

当院と住所が同じだけあって、時々患者さんと一緒に来られますが、伺ったのは初めてだったので見学にいってよかったです。

 

センターは小林駅から歩いて5分ぐらいです。大きな机があって、奥が更衣室?かな?とてもシンプルな作りです。外での作業を重視していることが良くわかります。
私が見学に行っていた時も、仕事場から帰ってきた利用者さんがいらっしゃっていました。

 

一言で地域活動支援センターといっても、色々な特徴があるようです。医療者もしっかり把握して、患者さんにあう場所をすすめられるとよいですね。