ずいぶんとブログのアップが滞っておりました。ご紹介したいことも、あれが良いかなとか、これが良いかなと考えていると、なかなかうまくご紹介できないかなとか、誤解のないようにと思ったりして控えめになってしまうところがありました。
それで、今日、たまたまとりためていたテレビ番組の中でNHKのSONGSという番組で美輪明宏さんが歌っているのを見ました。歌というのか舞台というのか、なにせ迫力がすごかったのですが、最後に「花 すべての人の心に花を」を歌われていました。
いつ聞いてもよい歌ですよね。
泣きなさい 笑いなさい
いつの日か いつの日か
花を咲かそうよ
笑って過ごせるような日々であってほしいというのが誰しもの願いでしょう。
一方で辛くて泣きたくなることがあるのも人生の自然。耐えて、耐えてやり過ごす日々かもしれません。しかし、そんなに我慢せずに泣いてもよいのだよ、それが自然な人なのだから、という優しさを感じます。
精神科・心療内科というと辛さを消すことを目的にしているように思われるかもしれません。確かにそれができれば本当に良いことです。ただ、悲しみや不安、怒りは人が持つ自然な感情で、それを全くなくすることはできません。
むしろ、一見ネガティブに見えるこういった感情にも大切な役割があるのです。悲しみは何かを失った時に感じる感情で、人を休ませる役割があります。不安は、先に何か悪いことを想像する時に感じる感情で、何かに備えて人を準備させる役割があります。怒りは自分の思い通りにいかないときに感じる感情ですが、怒りは物事を押し通す力にもなります。
自分がどのような感情を感じているのか。なぜその感情を感じているのか、失ったものは?、先に何があると想像しているのか、何が思い通りにならないのか。誰に対して感じているのか、人に対して?自分に対して?世の中に対して?・・・そのようなことを見つめるサポートをするのは精神科医の役割ですが、「花」の歌を聞くと、そんな精神科医の考えなどすっとんで、専門家も何も関係なく、人としての真心がどんなに大事か私自身が暖かく励まされる気がします。
花は花として わらいもできる
人は人として 涙もながす
それが自然のうたなのさ
心の中に 心の中に
花を咲かそうよ
当院のブーゲンビリアの花は暑くなり散ってしまいましたが、辛い時にも立ち止まって、自分の中の花を探したいものですね。