久しぶりに本の紹介です。「認知症の語り」ディぺックスジャパン著
ディペックスという組織をご存じな方は少ないと思います。(ぺをベにすると他の会社が出てくるので要注意です)Dipex = Database(データベース) of Individual (個人の)Patient (患者) Experience (体験・経験)の頭文字をとった国際的な団体です。
病気というと診断や治療に焦点がいきがちですが、病気という体験・経験がどんなものかを患者さん同士あるいはその家族で共有しようという試みです。
患者さんや家族にインタビューしたものがデータベースとして公表されています。よく癌については書かれていたり紹介されたりしています。
認知症についても同じ試みがされているとは知りませんでした。アマゾンで本を検索していてたまたま見つけたのが本書です。
これまで認知症については色々な本をご紹介してきました。この本の特徴は、皆さんが悩まれると思う項目ごとに、色々な認知症の患者さんや家族の声が紹介されていることです。施設に入ってもらう時の家族の気持ち、デイサービスを使ってもらう時の気持ち、認知症と診断されたときの気持ちなどなど色々なエピソードが紹介されています。同じような意見ばかりではなくて、正反対に見える意見もあり、人によって、環境によっていろいろなことがあるのだなとわかると思います。
病気になると忙しくなって、活動範囲が狭まったり、人とのつながりが少なくなったりすることもあると思います。自分だけだろうか、と孤独になったり、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
そんな時、本書を開いて、同じように思っている人、同じような経験をしている人が色々いるのだと少し孤独が和らいだらと思います。
ちょっと分厚いので、ご自身が悩んでいる項目について読んでみるのもよいかもしれませんよ。
昨今、個人情報の保護の問題もあり、なかなか大変なこともあると思いますが、このような体験を紹介する本が色々出ると良いなと思っています。
これまでご紹介した認知症の本